2015 Fiscal Year Research-status Report
戦後日本の保守主義の政治史的分析―自民党結成から現在まで
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25380149
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
中北 浩爾 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (30272412)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 日本政治史 / 保守主義 / 戦後 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年度は、国会議員および党本部の職員など自民党関係者へのヒアリングを精力的に行った。その他、派閥の関係者やメディア関係者などにもインタビューを行い、テープ起こしを行った。それを通じて現在の自民党について、派閥、人事、政策決定過程、選挙、支持団体、地方組織といった多面的な視角から把握することができることとなった。近年の政治学ではデータ重視のあまり、ヒアリングが軽視されるが、自民党の現状に関して、通説とは異なるさまざまな知見を得ることができた。 それに加えて、『自由民主』や『りぶる』をはじめとする機関紙・機関誌、一般紙、書籍、パンフレットなどを幅広く収集するとともに、議席数その他に関する多様なデータの作成を進めた。ヒアリングと重層的に組み合わせることで、客観的な分析が可能になると思われ、以上を通じて、本として研究成果をまとめる基礎が固まったように思われる。2016年度にはいよいよ本格的な執筆にとりかかる予定である。 また、小論ではあるが、自民党を中心とする日本の保守政治を、西欧諸国との比較でとらえる論文を執筆した。なぜ日本において右翼ポピュリスト政党の台頭が抑制されたのかということを主たるテーマとするものであるが、小選挙区制の効果に着目し、日本の事例をイタリアおよびイギリスの中間として位置づけた。2016年度半ばには岩波書店から刊行される本のなかの一つの章として発表される予定になっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国際比較の観点から日本の保守政治の変容について論じる論文を執筆し、2016年夏ごろに出版されることが決まっている。また、2016年に本の執筆に取り組み、同年中に刊行することを目指すが、そのための前提条件を整えることができた。なお、これに関して、出版社との刊行の話し合いは、すでにすんでいる。以上の理由に基づき、おおむね順調に進展しているといってよいと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度は、最終年度に向けて、自民党の現状に関する本の執筆に取り組み、2016年中の刊行を目指す。すなわち、それに向けて必要なヒアリングを行うほか、資料収集を継続的に実施する。また、既存の研究を参照しつつ、その限界を克服することを目指す。そうした意味で、研究書としての水準を保ちながら、極力、一般読者にも読まれるような本を執筆する。それを通じて、よりよい日本政治を構想するための学問的な知見を社会に還元することを目指す。
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Causes of Carryover |
予定していたヒアリングが2016年度に若干ずれ込んだため、テープ起こしや資料整理のためのアルバイト代を2016年度に先送りせざるを得なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
既に2016年4月にヒアリングを10回程度重ねた。そのためのテープ起こしや資料整理のために使用する予定である。
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Research Products
(2 results)