2015 Fiscal Year Annual Research Report
首相の指導力に対する国会議事日程決定権限や首相の補佐体制の影響に関する実証的研究
Project/Area Number |
25380151
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
竹中 治堅 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (70313484)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 首相 / 議事日程決定権限 / 指導力 / 省庁再編 / 事前審査制 / 政治改革 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では(1)与党議員の保持する議事日程決定権限が首相の指導力に及ぼす影響、(2)首相の補佐体制が首相の指導力に及ぼす影響、(3)英国の首相と比較した場合の首相の議事日程権限および補佐体制の特徴を理論的・実証的に分析することを目的に研究を進めてきた。 これまで、(1)与党議員の保持する議事日程決定権限の影響について①委員長や委員会の筆頭理事など国会の要職にある与党議員は議事日程決定権限を利用し、法案成立を妨げることができ、首相の政策立案を抑制できること、②与党が事前審査制を採用する要因の一つは与党議員が保持する議事日程決定権限への対応であることを明らかにした。(2)首相の補佐体制が及ぼす影響力について、省庁再編以前から首相の政策立案過程における内閣官房の役割は増大してきていることを示した。(3)英国の首相と比較した場合の首相の議事日程決定権限及び補佐体制の特徴については、英国の首相は日本の首相に比べて強い議事日程決定権限を保持しており、政策立案が容易なこと、また英国の首相に比べ、日本の首相は内閣府の担当大臣を特定の政策課題に対応するために起用する傾向にあることが判明した。背景には英国の首相は政府組織の改編を容易にできるため、特定政策課題の対応にも大臣を充てることができるのに対し、日本の首相は政府組織の変更をするには法律を改正しなくてはならないことがあると考えられる。 ただ、研究の過程で議事日程決定権限の影響は変化する可能性が大きく、首相の人事権、与党議員の情報量など変化をもたらす要因についてさらに探る必要のあること、また、事前審査制の実効性を担保する仕組みをさらに検証する必要のあることなども明らかになった。今後の研究では議事日程決定権限の影響力がいかに変化してきたのか、また、事前審査制の実効性はいかに担保されてきたのか、英国の政策立案過程と比較しながらさらに検証したい。
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Research Products
(2 results)