2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25380154
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
南 京兌 京都大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (50432406)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 日本の地方分権 / 中央地方間のj権力関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本の地方分権改革が中央地方間の権力関係の変化に与えた影響はなぜ小さかったのか。 行政的分権を最も好む中央レベルの地域利益を持つ代表的なアクターである橋本首相が、「現実的で、実行可能な勧告」すなわち「閣議決定可能な勧告」を地方分権推進委員会に追い求めることによって分権委の手は縛り付けられた。また、三位一体改革は経済財政諮問会議を司令塔とし、骨太の方針案の策定過程における歴代総務大臣による枠組みプランの提示とこれに対応した小泉首相直々の度重なる指示によって進められてきた。2005年以降の過程では、財政分権にほとんど介入せず、主として官房長官、総務大臣、財務大臣、経済財政担当大臣の四大臣と各省大臣との折衝に委ねられ、さらには自民党政調会長をも巻き込む政府与党間折衝に委ねられた。 行政的分権を進めた橋本と財政的分権を推進した小泉の両政権下の分権の内容は、中央での政治改革と自民党の伝統的な利益誘導政治の克服と複雑に結び付いているし、小泉の財政分権の成果は自治体の支持を得るにはほど遠い状況だった。 このように中央レベルの地域利益を持つアクターによって行政的分権から財政的分権への分権化の順序が決まった結果、自治体の自律性と裁量権の大幅拡大に寄与せず、国から地域に財政的負担のみが移り、自治体の自由度を高める効果をもたなかったのである。
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Research Products
(2 results)