2015 Fiscal Year Research-status Report
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25380168
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
藤田 由紀子 学習院大学, 法学部, 教授 (00338584)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 公務員制度改革 / 英国公務員制度 / 政府内プロフェッション / PSG |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、英国公務員制度において、その専門性を担う政府内プロフェッショナル・グループの内部管理に着目し、各グループの専門性の向上やプレゼンスの変化について分析することを目的としている。 平成26年度には、本研究の前提となる政府内プロフェッショナル・グループの再編を促した、労働党政権時代の行政改革プログラム Professional Skills for Government(PSG)について、その導入の背景、PSGの成果、労働党政権から保守・自民党連立政権への移行に伴う「専門性」の意義の変容に関する考察をまとめた論文「英国公務員制度改革における『専門職化』の意義」(『季刊行政管理研究』No.146)を公表した。 平成27年度には、上記論文の成果をふまえ、また、平成26年度日本行政学会研究会共通論題Ⅰ「行政の専門性と人材育成」(平成26年5月24日)において報告した内容に基づき、論文「政策的助言・政策形成の専門性はどこまで定式化できるか?-英国公務員制度改革におけるポリシー・プロフェッションの創設-」(『年報行政研究50 』)を公表した。これは、個別のプロフェッショナル・グループの内部管理に関する研究の最初の成果として位置付けることができる。 なお、まだ研究成果の公表には至っていないが、これまでに実施したインタビュー調査の内容の検討と新たな情報収集等により、法務、内部監査、財務、HR(人事)などの各グループの戦略・管理、専門性への影響に関する考察に取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
個別の政府内プロフェッショナル・グループの考察について、平成27年度には、法務、内部監査、財務、HR(人事)などの中から2グループ程度の内部管理と専門性の向上に関する考察の成果を出したいと考えていた。しかし、2015(平成27)年5月に英国で行われた総選挙により、それまでの保守党・自民党連立政権から保守党単独政権に移行した。それに伴い、行政改革に関しても担当大臣の交代等があり、従来の方針が変更される可能性も生じたため、その動向を見定めようとしている状況である。そのため、現在は政権による行政改革全般の動向と複数のグループの情報収集等を並行して進めており、具体的な成果の公表には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
やや遅れている個別の政府内プロフェッショナル・グループの管理・戦略および専門性の向上に関する考察を精力的に進めていきたい。その上で、できるだけ早く、各政府内プロフェッショナル・グループの管理・戦略等と公務員制の中でのプレゼンスの変化との関連に関する考察に重点を移行させていきたい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は次の2つである。 第1に、2015(平成27)年5月の英国の総選挙により、それまでの保守党・自民党連立政権から保守党単独政権に移行したことに伴い、行政改革についても担当大臣の交代等があり、これまでの方針に変更が生じる可能性が出てきた。そのため、政権の動向を見定める必要があると考え、早急に成果を出すことのリスクを避け、インターネット等により情報収集を続けている。 第2に、平成27年4月1日付で、本研究代表者の所属機関の移籍があり、移籍前後の諸業務や、移籍後の新しい所属機関における教育活動等のために、当初の予定よりも本研究への取り組みが十分にできなかった。特に、次年度使用額が生じた最大の原因として、平成27年度中に日程の確保ができず、現地調査を行えなかったことが挙げられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度には、前年度に実施できなかった現地調査を行うとともに、研究や調査に必要な資材、分析に必要な資料やソフトウエア等を購入する。また、リサーチ・アシスタントの効果的な活用を通じて研究の進捗の遅れを取り戻したいと考えている。
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