2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25380170
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
小山 俊樹 帝京大学, 文学部, 准教授 (90454503)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 近代日本 / 機密費 / 内閣 / 外交 / 情報 / 政治改革 / 陸軍 / 警察 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度にあたる本年度は、各省庁の機密費使途に関する特色を考察するとともに、補足的調査として機密費制度の設立期にあたる明治前半期の史料を集中的に収集した。三年間の研究によって、本研究課題の目的である、「近代日本における機密費運用の歴史的経緯と実態」についての実証的な検証、および監査体制の具体的な提言の見通しについては、ほぼ達成された。すなわち、(1)制度創設期における警察機密費と議会制導入との関係、(2)内閣制度設立後の藩閥政治家による機密費統制の試み、(3)政党政治の進展と機密費制度の変質、(4)疑獄の多発と機密費統制の制度化、(5)各省庁における機密費使途の特色、(6)敗戦後における機密費の廃止と復活、などの点を中心に検討を進めた。これまで断片的な言及のみに留まっていた近代日本の機密費とその制度について、全体的な概略を描けたこと、および制度の具体的課題を明らかにできたことの意義は大きい。また昨年度に引き続き『近代機密費史料集成Ⅰ―外交機密費編』をゆまに書房より刊行し、当該年度中に全巻(全6巻+別巻)の完結をみた。機密費に関係する原資料を影印で出版した書籍は本邦初のことであり、本研究課題が重視する、機密費の具体的な残存史料による考察を今後とも可能とする意味で重要な試みであった。本史料集は続編の刊行準備も進行中である。なお本研究の全体を通した成果についても、史料集とは別途の書籍として刊行を準備している。
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