2015 Fiscal Year Annual Research Report
デモクラシーと宗教:政治思想史、政治理論、地域研究の総合的アプローチ
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25380176
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
飯島 昇蔵 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (80130863)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
厚見 恵一郎 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (00257239)
谷澤 正嗣 早稲田大学, 政治経済学術院, 准教授 (20267454)
石川 涼子 立命館大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (20409717)
近藤 和貴 青山学院大学, 国際政治経済学部, その他 (70434214)
高田 宏史 国際基督教大学, 付置研究所, 研究員 (20513469)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 宗教と政治 / 古代政治哲学 / ルネサンスの政治思想 / 多文化主義 / ポスト世俗主義 / 現代アメリカの政治思想 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は各分担者が研究報告や論文執筆を行った。厚見はルネサンス期の政治思想を通じて政治と宗教の関係を研究し、マキアヴェッリに対するルクレティウスの影響についての論文を公刊した。ここでは、マキアヴェッリが原子論的世界像と人間の自由意志を両立させようとする際にルクレティウスから示唆を得ていた可能性を明らかにした。石川は、多文化主義とデモクラシーの関係について研究した。カナダのケベック州で2008年に出版された「合理的配慮」をめぐる報告書を題材として、合理的配慮概念を文化的差異への配慮に拡張して適用することで、リベラルではないとされる文化集団に属する女性の権利を保護する可能性を、民主的な熟議を通じた交渉と妥協に注目して考察した。近藤は、古代政治哲学の観点からデモクラシーと宗教の関係にアプローチした。とりわけ、ソクラテス裁判を民主的手続きにおける宗教裁判と捉え、アリストパネス、クセノポン、プラトンにおけるソクラテス像を比較検討した。そのほか、古典解釈に用いる方法論を深めるためにレオ・シュトラウスによる中世宗教思想解釈の研究を、さらには、古典的知見を現代に応用するためにグローバル化と移民の研究を行った。高田は、主として現代政治理論におけるポスト世俗主義の諸潮流を整理・分析しながら、デモクラシーにおける社会統合という観点からその政治理論的意義を析出することを目指した。この観点から、リベラルなポスト世俗主義を代表するチャールズ・テイラーのポスト世俗主義論を、大著『世俗の時代』を中心に整理し、デモクラシーにおける社会統合という観点から再評価した。谷澤はデモクラシーにおけるヘイト・スピーチの位置づけと、現代アメリカの保守思想における宗教の扱いについて研究した。前者についてはJ.ウォルドロンの著書の翻訳と解説を行い、後者については「新古典派リベラリズム」を紹介する報告を行った。
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Research Products
(13 results)