2015 Fiscal Year Annual Research Report
基礎自治体を統合する垂直統合政府における民主的統制と歳出効率に関する研究
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25380178
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Research Institution | Aichi University |
Principal Investigator |
野田 遊 愛知大学, 地域政策学部, 教授 (20552839)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 地方自治 / シティ・カウンティ統合 / 大阪都構想 / 米国の地方自治 |
Outline of Annual Research Achievements |
垂直的統合政府の民主性と効率性の変化、またそれらの関係を明らかにするために、米国のシティ・カウンティ統合政府等の海外事例や日本の市と府県の統合構想を推進する自治体を調査し、政府規模研究の知見を手がかりに研究を進めてきた。 シティ・カウンティ統合政府(ルイビルジェファーソン、ナッシュビルデビッドソン、レキシントンフェイヨット)にインタビューを進め、垂直的統合政府が二重行政を解消し効率化や経済発展を高めることを確認した。また、民主性が低下しないように、地域をいくつかの区域に分け担当議員が住民の意向を政府に助言する仕組みや、頻繁にパブリックヒアリングを行うなどの民主的手続き上の工夫が明らかになった。 2年度目にかけて国内では愛知県へのインタビューや意見交換を実施し、一方で大阪都構想にかかわる情報収集も積極的に進めた。2015年5月には都構想が住民投票で否決されることになった。ただし、本研究2年度目にヒアリングを行った垂直的統合に向けた検討事例から、成功事例でも複数回の住民投票を経て実現していることが明らかになった。ピッツバーグ、シャーロット、メンフィスの周辺地域をインタビューし、垂直的統合の可能性と課題を明らかにした。あわせて米国住民にアンケートを実施し、統計解析を進め、日本と同様に地方政府のサービスや課題を十分に認識していない状況を把握した。最終年度も引き続き米国の自治体等をインタビューするとともに、さらには韓国の済州特別自治道へもインタビュー調査を実施した。済州特別自治道の事例では垂直的統合による特に経済発展効果が高い点を把握した。 本研究での主要な知見は、統合による財政効率は成功事例においてはある程度達成できていること、民主性が常に対立概念になるためそれへの配慮を具体的なかたちで進めることで効率性と民主制を両立していることであった。
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Research Products
(6 results)