2015 Fiscal Year Research-status Report
EU地域政策とマクロリージョンの研究:北海マクロリージョン戦略策定プロセスの検証
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25380185
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Research Institution | Jissen Women's University |
Principal Investigator |
柑本 英雄 実践女子大学, 人間社会学部, 教授 (00308230)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | マクロリージョン / スケール / ガバナンス / ステークホルダー / 北海 / EGTC / EU地域政策 / 領域的結束 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、2009年策定の「EUバルト海戦略」から開始された「EUマクロリージョン戦略(EU Macro-region Strategy)」の検証を通じて、EU政体に発生し始めた“域内地域ガバナンス”形成プロセスを明らかにすることにある。“マクロリージョン”とは、EU地域政策の政策施行容器として用いられてきたバルト海沿岸・北海沿岸・ドナウ川流域などの領域規模で、“マクロリージョン戦略”とは、そこで実施されるEU・構成国国家・地方政府の様々な政策プログラムを「スケール縦断的・政策分野横断的に包括管理する新しい政策調整の方法論」である。 本研究においては、国家を政策容器の基礎単位としない“挟空間”「マクロリージョン」で、参加行為体がEU政策の「地域化」を通じてEU共通政策の欠点を補完するクロススケールのガバナンスが存在すると考え、このガバナンスモデルの「類型化」を行った。また、この類型化によって、「行為体間の権力関係の変化」を説明しながら、マクロリージョン戦略が登場した意味を検討し、ポストウェストファリア的な領域政治のあり方が明らかになった。 なお、EUの難民問題によって、バルト海周辺国における国境管理に関する最新の情報を収集・精査する必要が生じたことから、補助事業期間延長申請を行い、平成28年3月22日に日本学術振興会承認を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
BSC年次総会には地方政府代表者が参集するので、特に、Gotlandなど中心的役割を担っている地方政府関係者にもバルト海戦略策定段階への関与について聞き取りを行う予定であったが、EUの難民問題によって、バルト海周辺国における国境管理に関して、大きな状況変化があったため、最新の情報を収集・精査する必要が生じた。また、今後のバルト海周辺の政治的状況を注視する必要などから、時間を要することとなったために遅延が発生した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの調査と研究文献の検証で得られた知見から類型化の完成を目指す。内容を英文ワーキングペーパーにまとめ、NSC事務局Haukvik氏などに働きかけ、EU実務家に向けて報告する機会を探し、その時期に合わせて、ストックホルム大学レジリエンス研究センターのOesterblom氏・Boyd氏らと最終的なモデル類型化の協議を行う予定である。引き続き、EUでは難民問題やテロ発生など、不安定な政治情勢であるため、状況を見ながら実施したい。現地に入ることが困難な場合には、過去の研究過程で築き、継続してきたEU地域政策担当者とのネットワークを通じて、EU実務家に発信する機会を探り、本研究の集大成としたい。
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Causes of Carryover |
EUの難民問題によって、バルト海周辺国における国境管理に関して、大きな状況変化があり、予定していた出張ができなくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
EUドナウ戦略(EUSDR)の定期総会への出席
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Research Products
(1 results)