2015 Fiscal Year Annual Research Report
「地域主義的冷戦」戦略の形成と展開~戦間期日本外交の再検討~
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25380203
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
武田 知己 大東文化大学, 法学部, 教授 (20311897)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 日本外交 / 日独関係 / 外交政策決定 / 戦時外交 / 日英関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度にあたる27年度は、二年間の研究蓄積を踏まえ、第一に「日独伊三国同盟への道」を執筆した。日独伊三国同盟への道を外務省が早くからドイツとの「非公式の連携」を模索していた事実から読み直し、松岡洋右の外相就任以後の断絶という複雑さも強調した。本稿はTAKEDA TOMOKI, 'Lecture 11: The Path to the Tripartite Alliance of Japan, Germany and Italy', TsutTsui Kiyotada, ed., Fifteen Lectures on Showa Japan, Tokyo/Japan, Japan Library, 2016として翻訳された。第二に「1930年代の外交官の日記」(仮題。黒沢史貴・季武嘉也編『日記で読む日本近現代史』に掲載予定。投稿済)を執筆した。芦田均、重光葵、石射猪太郎の日記と回想録を比較考察したもので、傾向の相違を主張されがちな彼ら三人の協力関係や思考の近似性を主張した。第三に「戦後日本の外交政策決定と政党の政策調整機能」を執筆した。論集全体として戦前からの歴史的経緯の中で戦後の意思決定の方式の意味と特徴を考えた。第四に、日英関係史に関し、アントニー・ベスト氏(LSE准教授)の人物論を編纂・翻訳した『大英帝国の親日派』を刊行した。イギリスが20年代以降、日本の対外政策に強い警戒心を有していたこと、日本側が情報源・交渉窓口として期待していた親日派たちが当時の政策決定の中では周辺に追いやられていたことなどを紹介した。第五に、「大東亜会議の意味」(筒井清忠編『昭和史講義 続』ちくま新書、近刊予定。投稿済)を執筆した。近年の太平洋戦争の人種戦争としての再解釈やアメリカ外交批判などを加味した整理を行ったうえで、重光葵の果たした役割とその意図の挫折とを論じた。
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Research Products
(7 results)