2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25380212
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
安江 則子 立命館大学, 政策科学部, 教授 (20268147)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | EU / 欧州統合 / EU対外政策 / College of Europe / 国際研究者交流 / 多国籍 / EU近隣諸国政策 |
Research Abstract |
25年度は、まず4月にベルギーのブリュッセルにあるシンクタンクEIAS(European Institute for Asian Studies)において開催されたシンポジウムにスピーカーとして参加した。この機会に、日本の新政権の外交政策について紹介するとともに、ヨーロッパの研究者や実務家およびジャーナリストらとEUの対外政策についても有意義な意見交換や、資料収集を行った。欧州の東アジア政策の基本方針を確認するとともに、そこにEUの「政治原則」がどのように働いているのかを認識することができた。 8月末から9月には、アイルランド、イギリス、ベルギー、フランスを訪問し、各国のEU機関やジャーナリズムを訪問し、意見交換および情報収集を行った。 また3月には、ベルギーのブルージュにあるCollege of Europeにおいて開催されたEUの近隣諸国政策(EU neighborhood policy)に関するシンポジウムに参加した。これは、「アラブの春」を経験し、またウクライナ情勢が不安定化する中で、EUの近隣諸国政策がどのような問題に直面しているのかをテーマとした興味あるシンポジウムであった。さらに、EUの対外政策における政治原則が、こうした変革により、どのような新たな課題に直面しているのかを知ることができた。このシンポジウムで得た知見は、本研究における基本的な問題認識と深くかかわる重要なものであった。 過年度の科研費による成果と、今年度以降の研究とをつなぐ成果として、25年7月には、『EUとグローバル・ガバナンスー国際秩序形成におけるヨーロッパ的価値』(安江則子編著)を、発行することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的であるEUの対外政策について、現地の研究機関や研究者の協力を得ることができ、有意義な情報収集や意見交換をする機会を得た。科学研究費の他、報告者が所属する大学からの研究助成も得て、複数の国際会議に出席して現地の研究者との交流を実現できた。特に、College of Europe におけるシンポジウムにおいて、変革期にあるEUの近隣諸国の動向と、それに対するEUの対応について、EUの政策担当者や研究者から直に取材し、また文献資料等を得たことは、本研究の方向性について再確認することにつながった。 25年度には、上述のように、編著書『EUとグローバル・ガバナンスー国際秩序形成におけるヨーロッパ的価値』を発行することができた。欧州の研究者の論稿(翻訳)も含まれている。これは過年度までの科研費による研究と、今年度以降との研究をつなぐ問題意識のもとに編集したものである。欧州の研究者により、EUの外交政策や通商政策における基本理念や政治原則が説明されると同時に、日本の研究者らによって、EUの諸政策(環境・司法内務協力・貿易とGMOなど)において示されれてきたヨーロッパ的価値がどのようなものであるのか、実証的に研究した成果である。 科研費による欧州の研究機関や研究者との交流が実現したことで、自らの問題認識を一層確かなものとし、明らかにすべき内容についを明瞭にすることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度以降の研究においては、さらにEUの対外政策の全体像を再確認するとともに、以下の点にも配慮して研究を進めていきたい。 まず、個別の政策領域における加盟国間での問題意識の異同についても検証の対象としたい。特に、ユーロ危機後のEUにおいては、対外政策においても加盟国間で立場の相違が表明されることが目立っている。こうした中でEUの政治原則や価値観がどこまで共有されているのかを確認していきたい。 次に、特にEUの近隣諸国政策においては、その相手側の国においても、例えばロシアとの関係、資源の有無、宗教的背景などによって、EUが対応を異にする必要が指摘されるようになった。人権や民主主義など、共通の価値にもとづくコンディショナリティを 設けるとしても、外交や開発支援政策の決定にあたっては、個別の事情を考慮せざるを得ない。こうした事情のもとで、EU外交の理念や政治原則の一貫性は、どのような意味をもつのか、さらに検証を進めていきたい。
|
Research Products
(2 results)