2014 Fiscal Year Research-status Report
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25380212
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
安江 則子 立命館大学, 政策科学部, 教授 (20268147)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | EU / 欧州統合 / 移民政策 / 近隣諸国政策 / EU市民権 / ベルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
4月にはベルギー、ブリュッセルのシンクタンクCEPS(Center for European Policy Studies)で開催されたEUの市民権および第三国からの移民問題に関連するシンポジウムに出席した。このシンポジウムでは、EU市民権や移民政策の専門家とともに、EUの機関である欧州委員会や欧州経済社会評議会の担当者も出席し、様々な角度から、EUおよび加盟国における市民権および移民政策に関連する諸問題が議論がなされた。近隣諸国が不安定化するなか、EUが共通の価値として掲げる市民の自由な域内移動と平等待遇、第三国移民に対する政策をめぐる理念と現実が議論の対象となった。 特に、マルタなど一部の加盟国による国籍の高額販売の実態とその事実への対応、そして北アフリカやシリアなどからランペドゥーサ島に漂着する難民の扱いをめぐる加盟国間の対立といった問題は、対外政策におけるEU統合の理念的側面、特に近隣諸国政策を検証するうえで重要な鍵となることが示された。 5月には、4月のシンポジウムのテーマに関連して、CEPSに所属する研究者および欧州議会の政務官を招いて、立命館大学においてワークショップを開催した。この中で、欧州と日本、双方の研究者を交えて、EU市民権の意味や、その対外的インプリケーションなどについて議論を深めることができた。 こうした研究交流から得た知見をもとに、11月に開催された日本EU学会研究大会において、「EUの連帯」という共通論題として、「EU市民権と連帯への課題」と題する研究報告を行った。ユーロ危機後、経済や雇用情勢の悪化のなかで、移民政策や対外政策における共通認識が再考されようとしている状況を明らかにした。また欧州統合の根幹となるべき共通の価値は何であるのか、問い直される時期にあることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4月に欧州において、研究テーマと関連のあるシンポジウムに出席し、現地の専門家と交流の機会をもったことによって、研究に不可欠な情報や資料を得ることができた。EUによる開発支援政策および近隣諸国の情勢をめぐるEUの対応や今後の政策的課題についても、直接のヒヤリングをしたことによって、研究の方向性を確かなものとすることができた。 また、11月の学会の研究大会において報告の機会を得たことで、これまでの研究成果の一部を中間的にまとめることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度においては、EUの拡大政策、近隣諸国政策、またEU開発支援政策を中心に研究を進めていく。EUにおいて近隣諸国政策の見直しが進むのと並行して公表される公式資料や論文などの文献をあたり、最新の情報に基づいた分析を行いたい。また関連するシンポジウム等が開催される予定の欧州にでかけ、情報収集し、研究交流を実施したい。 特に、ユーロ危機を経て、経済・財政・雇用に関する大きな問題をかかえるEUが、これまでかかげてきた政治原則の理念と、現実の対外政策とをどのように調和させていくことができるのかを、注意深く検証したい。 また関連する研究テーマを含む編著書の発行を予定している。 研究計画に大きな変更はないが、研究交流のなかで得られた知見をもとに本研究の範囲内でのサブテーマについて、重点の置き方が変わることは考えられる。
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Causes of Carryover |
2014年度は本研究2年目にあたり、情報収集のための交通費や資料集に経費を使用する予定であったが、年度末には、所属する大学の学部がキャンパス移転となり(京都衣笠キャンパスより、大阪茨木キャンパスへの移転)、一部の資料は移転前の購入を控えた。また健康上の理由(肩関節炎)により、年度後半で予定していたシンポジウム等への出席も見送った。このため、経費の支出が、当初の予定より抑えられたが、研究費を実効的に使用するためには、2015年度にもちこす方がよいと判断した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年度は、EUの近隣諸国政策を含む対外政策に関するシンポジウムが多く企画されており、内外のこうした機会をとらえて研究の資料収集や他の研究者との意見交換を行いたい。また、所属する大学の学部が2015年4月にキャンパス移転となったのに伴い、研究環境の整備にも充当したい。その他、論文の翻訳謝金や関連書籍の購入などに使用する予定である。
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Research Products
(3 results)