2013 Fiscal Year Research-status Report
経済環境におけるメカニズム・デザインの可能性と限界
Project/Area Number |
25380218
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大瀬戸 真次 東北大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (00278475)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | メカニズム・デザイン / 相互評価 / 表彰制度 |
Research Abstract |
メカニズム・デザインの新しい問題である「相互評価による表彰制度の設計」に関する研究を開始した。相互評価とはある集団における個人相互を評価しあう状況であり、表彰制度はその相互評価に基づいて各個人にランキングをつけたり、一人または集団の一部を表彰対象者として選択する仕組みのことである。平成25年度の研究では、集団の各個人が(自分自身を除いて)最も表彰するにふさわしい個人を指名しあい、それらの指名情報に基づいて表彰対象者を決定する制度の設計について分析を行った。ホルツマン・ムーラン(2013)は、そのような環境で常に一人の個人を表彰対象者とする表彰制度で、次の3つの条件を満たすような表彰制度は存在しないことを証明している。3つの条件とは、不偏性(自分が表彰対象者となるか否かは自分の指名に影響を受けない)、正の全員一致性(すべての個人がある特定の個人を指名したならば、その個人が表彰対象者となる)、負の全員一致性(誰からも指名されていない個人は表彰対象者となることはない)である。彼らの不可能性定理を克服する試みとして、表彰制度が常に一人の個人を表彰対象者とするという仮定を緩和し、複数の個人を表彰対象者として認めるような表彰制度にまで拡張して考察するとどのように結果が変化するのかを分析した。ここで、単純多数決を用いた表彰制度を考えると、最高得票数が同点となる場合があり、複数の個人を表彰対象者として認めるような表彰制度を考えるというのは自然な拡張であるといえる。しかし、単純多数決は正の全員一致性と負の全員一致性を満たすが、不偏性を満たさない。そこで、不偏性を満たすように単純多数決を修正するという試みを行い、いくつかの初歩的な結果を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
メカニズム・デザインの新しい問題である「相互評価による表彰制度の設計」に関する研究を開始し、複数の表彰対象者が可能であるような表彰制度モデルを構築し、いくつかの初歩的な結果を得ることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
メカニズム・デザインの新しい問題である「相互評価による表彰制度の設計」に関する平成25年度の研究を進展させ、複数の表彰対象者が可能であるような表彰制度モデルにおいて新しい表彰制度を考案してその性質を分析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額である。 次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成26年度請求額とあわせ、平成26年度の研究遂行に使用する予定である。
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