2014 Fiscal Year Research-status Report
資本移動、国際貿易と経済成長:市場開放のタイミングについて
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25380219
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
胡 云芳 神戸大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (30379466)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 国際貿易 / 資本移動 / 経済成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究は主に以下のテーマを中心に行った。 1.貿易パターンの変化。1国経済の発展につれて、それぞれの生産部門への資源配分が変化していく。ものやサービスの国際間移動がこのような資源配分変化に影響を与えるため、国際貿易と経済成長を同時に扱う環境が必要になる。本研究では農業部門、製造業部門および貿易しないサービス部門が同時に存在する小国経済を対象に、小国以外の世界経済がすでに各国の定常均衡経路に到達したとき、当該国の発展経路が初期状態の資本蓄積に依存することを示した。資本の少ない国ほど、より多くの資源を農業部門へ配分し、経済発展につれて資源を相対的に資本が多く必要な製造業部門やサービス部門へシフトし農業部門の割合が減少することを示した。本研究での分析結果が実際の経済データから得た計量分析結果をサポートし、既存計量分析結果の理論的な解釈の一つになる。 2.財政政策の効果。標準的な実物景気循環モデルにおいては、非線形所得税(例えば、累進税)がマクロ経済を安定化させる効果があるとよく言われている。一方で、長期的な経済成長を伴う閉鎖経済においては、累進税の安定化効果がなくなる可能性が最近の理論研究で指摘され、開放経済においてこのような結果が成立するかどうかは再検討する必要がある。本研究ではものやサービスの国際移動と同時に、国際金融市場へもアクセスできる成長経済の下で、財政政策のマクロ効果を再考した。国内所得のみ、国内と海外全ての所得への課税または異質性のある家計を含む経済などいくつかの異なる設定の下で、非線形所得税がマクロ経済を安定化させる可能性があることを示した。これらの結果は既存研究結果と補完的な関係があり、現実に近い国際貿易と資本の国際間移動が同時に可能な成長経済における財政政策の効果の解明に貢献できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.貿易パターンの変化について研究結果をまとめた論文が海外の学術誌で発表した。 2.財政政策の効果について研究結果をまとめた論文が海外の学会へ投稿した。 3.国際貿易市場の開放と資本移動のタイミングについて研究論文は投稿できるように整理している。
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Strategy for Future Research Activity |
1.財政政策の効果について論文を9月の海外学会で発表し、コメントに基づいて修正した後、海外の学術誌へ投稿する。 2.国際貿易市場の開放と資本移動のタイミングについて研究結果をできれば早い段階で学術誌へ投稿する。 3.日本で国際コンファレンスを開催し、今までの研究を更なる広い方向へ発展し、海外の研究者との共同研究の可能性を含めて積極的に推進する。
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Causes of Carryover |
今年度に海外の共同研究者を招聘するため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
1.当該分野において世界でもトップレベルの海外の研究者を神戸大学へ招いて、国際コンファレンスを開く予定である。 2.未発表の今までの研究成果を報告し、海外の研究者のコメントを得たうえ、更なる研究交流または共同研究へ推進する予定である。
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Research Products
(6 results)