2014 Fiscal Year Research-status Report
重み付き投票メカニズムにおける交渉過程の実験経済学的分析
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25380222
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
渡邊 直樹 筑波大学, システム情報系, 准教授 (20378954)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | meaningful learning / weighted voting game / two-armed bandit problem / experiment / voting power |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度の主な研究成果は、重み付き投票の状況において、被験者が、限られた経験に基づいて、票数の割当と(投票の結果に対する)その実際の影響力の間にある関係を学習できるか、という問いに対して、一定の回答が得られたことである。研究は経済実験の方法に基づいてなされた。実験の仕様は次の通りである。被験者には2つの4人投票ゲームのうちの1つを選択させ、何度も繰り返して同じ選択肢に対して回答してもらった後に、それまでの選択肢と似てはいるが異なるなるものを回答させた。実際の投票は行わず、ゲームの選択の結果として、被験者はある投票力指数に基づく利得を得る。その利得に関する情報を各回の選択後に見せなかったとしても、被験者はより高い利得を得る投票ゲームを選ぶことができ、さらに、似てはいるが異なる状況に直面した時により高い利得を生成する投票ゲームを選ぶのは、利得情報を与えられた上で投票ゲームの選択を行う場合ではなく、そのようなフィードバックがまったく行われない場合であった。 以上の結果はどのような状況においても観察されるというわけではなく、例えば、公共財の自発的供給ゲームにおいては観察されていない。従って、次に進めるべき考察は、どのような状況において、どのような情報の与え方によって、上記の結果を得ることができるのか、という問いである。このような問いに対して、情報の認知と意思決定の面から考察を加えるべく、票数の割当と投票ゲーム選択後の利得をカヴァーで隠し、そのカヴァーを開けるためにはその上にカーソルを持っていき、クリックせねばならないようにした。このようなマウストラッカーを使った実験に引き続き、次年度には被験者の視線を捕捉するアイトラッカーを使った実験も行う予定である。マウストラッカー実験についても追加実験を実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
重み付き投票による利得配分では、時として、予想もしなかったことが観察される。その原因を特定するためには、被験者が状況をどのように認知しており、どのような推論を行っているかに関する規則性を見いださねばならない。本研究では、これまで、相当な数の投票ゲームにおいてデータを収集してきており、マウストラッカーを用いた実験でもデータの蓄積が進んでいる。これに加えて、アイトラッカーを用いた実験を開始する算段が立っていることは、本研究が順調に進んでいることを示している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度には、アイトラッカーを使った実験を開始する。マウストラッカー実験についても、追加実験を実施する。もし可能であれば、fMRIを使った実験の実施も検討する。これまでに蓄積してきたデータも相当な量になっており、これらの解析を進めることで、新しい投票力指数の理論の構築を開始する。
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