2013 Fiscal Year Research-status Report
イノベーションの曖昧さの経済成長・生産性への影響の分析
Project/Area Number |
25380230
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
東 陽一郎 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (80327692)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 経済成長 / 曖昧さ / 生産性 |
Research Abstract |
本年度は品質の向上に関するイノベーションが経済成長の源泉である内生的成長モデルに、イノベーションの曖昧さと企業の生産性の選択を取り入れた理論モデルを構築した。労働者一人当たりのイノベーションの成功確率は、通常のモデルと異なり、ある区間に入ると仮定する。これは、イノベーションを行う企業がイノベーションの成功確率を一つに絞れないという曖昧さに直面することを意味する。本研究では、すべての主体は曖昧さを回避したいという好みを持つと仮定される。よって、イノベーションを行う企業は、新しくイノベーションに最低の確率で成功すると考える。一方、イノベーションのパテントを購入し生産を行う企業は違う確率を頭の中にもつ。財を生産している企業は、別の企業が新しいパテントを購入して生産を始めると財の生産から駆逐される。したがって、財を生産しはじめる企業が新しいイノベーションは最高の確率で起きると考える。生産性の決定は財の生産の直前に行われるので、そこでは新しいイノベーションが起きて自分が財の生産から撤退する確率は最高の値とされる。この経済で不確実性の増大、つまり曖昧さの増大は、イノベーションの成功確率の区間が広くなることを意味する。曖昧さが増大すると、イノベーションを行う企業が成功確率が下がったと考え、イノベーション活動を行う労働者が減り、成長率が下がる。一方、生産性への影響は曖昧である。生産性を決める際に重要な、他企業が生産を始めるときの労働者1単位当たりの確率は増大するが、イノベーションに雇用される労働者の数は減るからである。イノベーションによる財の品質向上が顕著であると、曖昧さの増大は企業の生産性を低下させる。これは、曖昧さのないときに企業が悲観的になり、イノベーションの成功確率が下がったときとは異なる影響であり、過去の文献とは異なる効果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、理論モデルの構築を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、理論モデルの構築を行い、成果を英語論文にまとめることを目標とする。英文校正ののち、査読付きの英文雑誌に投稿する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
学事日程との関係で学会参加・研究打ち合わせが予定よりも減ったため。 学会参加・研究打ち合わせにより、研究を多角的に進める予定である。
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Research Products
(1 results)