2014 Fiscal Year Research-status Report
イノベーションの曖昧さの経済成長・生産性への影響の分析
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25380230
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
東 陽一郎 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (80327692)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 曖昧さ / 経済成長 / 生産性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、イノベーションの曖昧さが経済成長と企業の生産性にどのような影響を与えるかを分析した論文を作成した。イノベーションに曖昧さがあると、イノベーションに成功する前の企業はそれが低い確率で成功すると考える。しかし、イノベーションに成功した後の企業は他の企業が高い確率で成功すると考える。これにより、イノベーションの曖昧さの増大は均衡での経済成長と企業の生産性を低くする。 本年度は、基本モデルの分析に加え、イノベーションの曖昧さの下で経済厚生がどのような性質を持つかに関する分析も行った。まず、割引因子が小さいもとでは、イノベーションのために雇用される最適な労働者は0になりうることを示した。つまり、経済成長率が0になりうる。これは、企業がイノベーションに成功した後に生産を行うのは来期からであるので、割引因子が小さいもとではイノベーションの成功からの便益が小さくなるからである。この性質はイノベーションに曖昧さの無い経済では起きないことが数値例により示された。数値例によると、この性質が起きるための割引因子の値は、それほど小さくなくてよいことが示された。また、イノベーションに曖昧さのある経済の経済厚生はイノベーションに曖昧さはないが、イノベーションに低い確率で成功する経済の経済厚生と似た性質を持つことが数値例により示された。最後に、イノベーションのために雇用される最適な労働者の数は、対応した経済の均衡よりも多いこともあれば、少ないこともあることが数値例により示された。 本年度は、作成した論文を京都大学経済研究所のミクロ経済学・ゲーム理論研究会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
英語論文を作成し、研究会で発表した。その際のコメントをもとに論文を改訂中である。加えて、経済厚生に関する分析を加え、モデルに関する分析を深めた。
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Strategy for Future Research Activity |
英語論文の作成を引き続き行う。経済厚生に関する分析は、数値例を用いた分析になっている。これは、分析が煩雑なためであるが、解析的な結果が出るかどうか考察を引き続き行う。また、研究会での発表のコメントをもとに論文の完成度を高めるために分析の追加、改訂を引き続き行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、今後の研究計画を考えたうえで、海外出張を取りやめたためである。また、英文校正を利用していないためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
使用計画としては、海外出張、英文校正などに用いる。
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Research Products
(2 results)