2014 Fiscal Year Research-status Report
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25380231
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
尾川 僚 広島大学, 社会(科)学研究科, 特任准教授 (50533204)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ゲーム理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
長期間にわたる競争にゲーム理論を用いる分析のうち、前年度に引き続いて、3名以上の参加者(競争する当事者、エージェント)の中から2名を一対一で競争させるというステージを(適切な回数)繰り返し、最後に最終勝者を決定する方式の競争のクラスに注目した上で、特に、どのような手順(明文化されたルール、くじ引き抽選など)で一回一回の対戦相手を決定するかによって、各ステージにおいて各参加者が直面するインセンティブがどのような影響を受けるかという観点から研究を継続実施した。大きくくくると2点の成果が得られた。 1つは、参加者側の視点から見た際の有利不利(部分ゲーム完全均衡における事前の期待利得の大小や、事前の期待優勝確率の大小など、いくつかの基準で定義できる)と対戦日程との関係に関する研究成果である。全く同質な(同質性は、エージェントの単純な「強さ」や、努力費用の効率性などに対して定義する)エージェントの集団を仮定した場合、事前に全く同質であるにも関わらず、対戦日程、特に何回目に対戦が回ってくる予定になっているか、ということが事前の期待利得や、事前の期待優勝確率にかなり考慮に値する影響を及ぼすことを明らかにした。 もう1つは、競争主催者(複数の部下をまとめる上司や、スポーツ競技の主催団体など)の視点から見た際の望ましい競争設計(主にエージェントの努力の最大化で定義されるが、選好研究では他にもいくつか定義が与えられている)と対戦日程との関係に関する研究成果である。1点目と異なり、事前に「強さ」などに差があることが分かっているエージェントをトーナメント方式で対戦させるクラスの問題において、望ましいトーナメントの組み方について先行研究に追加する部分的な成果が得られた。その際、トーナメントの同じステージの複数の対戦を同時に行うか逐次に行うかによって結果が大きくことなることが明らかにされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に既に得られている結果を元に追加の研究成果が得られた一方、今年度に新たに着手した観点についても一定の成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
既に固まった成果について取りまとめを急ぐ一方、今年度新たに得られた成果について深化を急ぐ。
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Causes of Carryover |
学会等の参加のうち予定のつかないものが生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
既に得られた研究成果の報告の機会に充てる予定。
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