2015 Fiscal Year Annual Research Report
事後的コミュニケーションが協調に与える影響---ゲーム理論的分析と実験
Project/Area Number |
25380237
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
瀧澤 弘和 中央大学, 経済学部, 教授 (80297720)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川越 敏司 公立はこだて未来大学, 公私立大学の部局等, 教授 (80272277)
山森 哲雄 高崎経済大学, 経済学部, 准教授 (50552006)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 実験ゲーム理論 / コミュニケーション / 事前コミュニケーション / 事後コミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,コミュニケーションがゲームのプレーにどのように影響するのかを実験的に研究することを目的として行われた.1年目には,チキン・ゲームを用いて予備実験を行い,2年目にはインストラクションを改訂し,囚人のジレンマ,男女の争い,協調ゲーム,最後通牒ゲームについても実験を行った.これらの2×2のゲームについて,コミュニケーションのない状況,事前コミュニケーションがある状況,事後コミュニケーションがある状況で実験を実施した. 3年目となる昨年度は,それまでの実験結果を9月に大阪大学で開催された研究会「行動経済学・行動ファイナンスのフロンティア」において報告し,本年1月にも,すべてのゲームで同じインストラクションを用いたデータを得るための追加実験を行い,データ数の拡充に努めた.また執筆中の論文は,2016年7月にエルサレムで開催されるEconomic Science Associationに投稿しており,そこで学会発表する予定である. 本研究では,事前と事後のコミュニケーションを比較可能にするために,メッセージは一方向で,特定の戦略を選択して欲しいという「希望」を述べるものになっている.このため,事前メッセージのコーディネーション力のみに注目したり,事後的な評価の役割のみに注目したりしてきた既存研究とは異なる結果が得られることになった.具体的には,(1) メッセージがなくても,コーディネーションに対する強い傾向性をプレーヤーたちが持っていること,(2)プレーヤーたちはゲームの戦略的構造をよく理解しており,送り手は自己利益を最大にするようなメッセージを送り,そのようなメッセージを送るということを受け手がほぼ完全に予想していること,(3) 事前であれ,事後であれ,メッセージの存在によって,メッセージの送り手が利己的に振る舞うことをメッセージの受け手は警戒している,との知見が得られた.
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