2016 Fiscal Year Annual Research Report
Construction of mid-term macrodynamic model and its application to economic policies
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25380238
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
浅田 統一郎 中央大学, 経済学部, 教授 (20151029)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 青天 明治学院大学, 経済学部, 教授 (10206831)
松本 昭夫 中央大学, 経済学部, 教授 (50149473)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | デフレ不況 / インフレターゲット / 財政金融政策 / ケインズモデル / ホッフ分岐 / 所得格差拡大 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、デフレ不況下における名目利子率、インフレ期待率と名目貨幣供給について簡単なケインジアン・モデルを構築して財政金融政策を分析し、以下の結果を得た:(i)中央銀行の金融政策が十分に積極的でかつインフレ・ターゲットが十分な信頼性をもつならば名目的な均衡点は安定である;(ii) 中央銀行の金融政策が上記の条件を満たさなければ均衡点は不安定になる。ついでホッフ分岐を通じて安定および不安定な極限循環が発現する条件を求めた。 ついで、経済成長率と資本の収益率に関するピケティ命題の批判的検討した。ピケティは1980年から2010年にいたる30年間に米国や欧州諸国で所得分配の不平等化が進展したという事実を統計データから発見した。しかしながら、所得格差拡大の原因に関するピケティの理論的説明には論理的に不十分であることを新古典派経済成長モデルとポスト・ケインジアンの経済成長モデルの双方を用いて示した。ピケティの本来の意図は所得格差拡大の背後にある社会経済学的な要因を探ることにあると思われるが、これを理論的に解釈する際に依拠した完全競争と代表的個人の最適行動を前提とする新古典派モデルでは所得分配率は生産関数の技術的パラメータで決定され、社会経済的要因をモデルに導入する余地がない。 マルクス経済学の労働価値説とならぶ理論的な基礎となる史的唯物史観を数理的に整理し、近代経済学的経済成長理論と比較対象が可能であるマルクス経済学的な一部門の経済成長モデルを構築し、生産遅延がある場合の分析を行い、経済は時間の経過とともに必ずしも定常点には向かわず、その近傍を循環的に変動することを離散時間の場合と連続時間の場合にわけて考察を行った。
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Research Products
(4 results)