2013 Fiscal Year Research-status Report
計算機シミュレーションを用いた震災被災地からの人口流出現象の数理経済地理モデル
Project/Area Number |
25380240
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
高木 一郎 東海大学, 総合経営学部, 教授 (90226746)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田畑 稔 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70207215)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | Master方程式 / DSKモデル / 経済地理学 / 計算人口学 / 数値計算 / 賃金方程式 / 数理経済学 |
Research Abstract |
本年度の研究実績は次の2点である.(1)Master方程式モデルとDSKモデルの再検討と人口移動統計資料のデータ解析と(2)Master方程式単独の数値実験とDSKモデル単独の数値実験.先ず,数理経済学を専門とする高木が経済地理学の見地からMaster方程式を再検討し,数値解析を専門とする田畑が計算人口学の立場からDSKモデルを再検討した.これらの再検討結果を基にして,計算人口学のMaster方程式とNEGの賃金方程式を組み合わせたプロトタイプ・モデルの構築を試みた.また,被災地の人口統計資料に対して多変量データ解析を行い,労働力移動を表すMaster方程式の主要項に含まれる外生変数の絞り込みを行い,賃金方程式の外生変数との共通化を試みた.さらに,Master方程式単独の数値実験と賃金方程式単独の数値実験を並行して行った.私たちが独自に開発した数値計算プログラム・パッケージを用いることにより,数値実験時間を大幅に短縮して,多くの数値実験を試みることができた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的は順調に進展しており,本年度は,Master 方程式モデルとDSKモデルの再検討を行い,人口移動統計資料の解析を行ったが,以前の科研費の研究“国際経済における複雑系数理経済モデル”で用いた最新のデータ解析技法を用いてスムーズに行うことができた.また,数値実験では,Kramers-Moyal 展開と私たちが開発した数値計算プログラムパッケージを用いることにより,数値実験時間を大幅に短縮することができた.
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は,プロトタイプ・モデルの構築とその数値実験を行う.本年度行った予備的な数値実験を基礎として,連立させる2つの方程式に含まれる外生変数の共通化を行い,プロトタイプ・モデルを構築する.独自に開発した数値計算プログラム・パッケージをMaster方程式とDSKモデルの賃金方程式に適用する.これにより,人口密度と実質賃金の時間・空間的変化の高精度な追跡が可能となり,人口移動モデルとDSKモデルを連立させても,迅速にその連立系の挙動を調べることができる.次に,von Thunen モデルとの整合性を数値実験により検証する.続いて,Paul Krugman により指摘されている,自己組織化過程により都市が中核に位置し,周辺に複数の衛星都市が生まれるEdge Cityの形成過程が,私たちのプロトタイプ・モデルでも正しく再現できるかどうかを検証する.そして,数値実験の結果を数値計算技法の研究として計算機シミュレーション分野の学術雑誌に発表する.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初,海外の学会での論文の発表を計画していたが,諸般の事情で発表を取りやめたので,使用計画との誤差が生じた. 次年度は,海外の学会で論文を積極的に発表するとともに,米国の大学のワークショップ等での議論でモデルの精度を上げるように努力するするので,今年度未使用の予算も必要になると考える.
|