2015 Fiscal Year Research-status Report
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25380244
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
若山 琢磨 龍谷大学, 経済学部, 准教授 (80448654)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星野 裕二 (藤中裕二) 大阪経済大学, 経済学部, 講師 (20552277)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | メカニズムデザイン / 経済理論 / ゲーム理論 / マーケットデザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,前年度の学会報告で得たコメントに基づき,基本モデルの分析を行った.まず,耐事前交換性はペアに対して適用される概念であるが,それを3人以上のグループにも適用されるように強めた概念(連立耐事前交換性)と耐事前交換性の関係を考察した.すると,耐事前交換性を満たす腎臓交換メカニズムの中で連立耐事前交換性を満たさないものが存在することがわかった.また,耐事前交換性とコアとの関係についても考察した.分析の結果,腎臓交換メカニズムが耐事前交換性(連立耐事前交換性)を満たすならば,そのメカニズムが選ぶ配分はペアワイズ・コア(コア)に属することがわかった.耐事前交換性は事前の結託を防止するものであるのに対して,コアは事後的な結託を防止する概念だと見なすことができる.そのため,上述の結果は,事前の結託防止と事後の結託防止には密接な関連があることを示唆するものである.さらに,4つの公理(耐事前交換性,耐戦略性,効率性,個人合理性)の関係について調べた.すると,TTCメカニズム以外にも,耐事前交換性,効率性,個人合理性の3つを満たす腎臓交換メカニズムが存在することが判明した.そのうえ,これらの3つの条件に匿名性や非介入性などの条件を加えても,TTCメカニズムを特徴づけることができないこともわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
基本モデルについて得られた成果は,国際的学術雑誌への投稿に向けて論文の内容を整理・修正しているところであるが,その作業に想定以上の時間を要している.また,拡張モデルについては,主要な結果は出揃っているものの,証明が複雑で長くなっているため,完成に手こずっている状態である.そして,上述の通り,理論分析に予想以上の時間がかかったため,実験計画について詳細を詰めることがまだできていない.
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Strategy for Future Research Activity |
基本モデルは「Pre-exchange-proof house allocation」という題名で論文を完成させて,国際的学術雑誌に投稿する.拡張モデルについては,証明をきちんと詰めて初稿を完成させる.また,経済実験については,舛田武仁氏(京都大学)の協力を仰いで実験デザインや実施計画の詳細を詰めていきたい.
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Causes of Carryover |
基本モデルの研究成果をまとめた論文「Pre-exchange-proof house allocation」について,その内容の整理・修正に想定以上の時間を要しており,2015年度に支出予定だった英文校閲費を使用できなかったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
英文校閲費に使用する予定である.
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