2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25380247
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization |
Principal Investigator |
樹神 昌弘 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, その他部局等, 研究員 (20450512)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 動学一般均衡 / 全要素生産性 |
Research Abstract |
本年度は本研究で利用する経済モデルについての先行研究サーベイとそれに基づく経済モデルの構築を重点的に行った。本研究は複数生産部門を扱う研究である。一方、最近年においては、複数生産部門を内包するマクロ経済モデルとして、産業構造変化研究に関する一連の研究が注目を浴びている。このため近年の産業構造変化研究についての先行研究サーベイを実施した。 産業構造変化研究においては、Duarte and Restuccia(2010)が動学一般均衡モデルを利用した研究を行っており、また彼らの経済モデルを応用した研究がその後数多く行われるようになってきている。Duarte and Restuccia は閉鎖経済を念頭とした研究であるが、Matsuyama (1992, 2009)の理論研究が指摘するように、開放経済を前提とした場合には、経済モデルの振る舞いは大きく変わる可能性がある。この点を意識し最近年には開放経済下における産業構造変化研究が行われるようになってきている。例えば、Teignier (2012)、Ungor (2012)、Betts, Giri, and Verma (2013)、Uy, Yi, and Zhang (2013)が、開放経済下の産業構造変化研究を行っている。 これらの産業構造変化研究をサーベイすることにより、次の点が明らかになった。貿易の存在は産業構造変化に理論的には大きな影響を与え得る。しかし、現実には関税などの保護的貿易政策のために、貿易は産業構造変化に大きな影響を与えないこともある。このためシミュレーションにおいては貿易政策を考慮した分析が重要である。また産業構造変化の初期においては、エンゲル法則の影響力が大きいため、これを反映したモデル構築が必要である。 本年度の研究においては、上述の研究サーベイに基づき、今後の研究で使用する動学一般均衡モデルの構築を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予想されなかったような問題が特に発生していないため、当初計画と同程度の進捗となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は経済モデルのシミュレーションとモンテカルロ実験が、研究の中心となる。この部分で予見される問題としては、コンピュータプログラム上の間違い(バグ)である。バグはしばしば見過ごされてしまうが、結果に大きな影響を与え得る。この問題を避けるために、2回、別々にプログラムを書き、両者の結果が同一になるかを確認するということを行う。これによりバグをなくすように努める。
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