2013 Fiscal Year Research-status Report
統合的経済倫理学に基づく多元的秩序理論の構築-中間組織の統合的把握に向けて-
Project/Area Number |
25380250
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
永合 位行 神戸大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (40218037)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 寿来 名古屋学院大学, 経済学部, 講師 (10379505)
佐々木 亘 鹿児島純心女子短期大学, その他部局等, 教授 (40211940)
鈴木 純 神戸大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (40283858)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 経済倫理学 / 多元的秩序 / 経済政策 / 中間組織 |
Research Abstract |
統合的経済倫理学に基づく多元的秩序理論という新たな分析枠組みの提起を目的として研究を進めた。具体的には次の4点があげられる。 (1) 永合位行は、統合的経済倫理学の土台となる伝統的自然法思想、とりわけカトリック社会論の解明に取り組んだ。この研究は、27年度に予定している単著の基本部分となるものである。また、伝統的自然法思想に基づく福祉国家の批判的考察ならびに福祉社会の経済倫理的根拠づけにも取り組んだ。この研究の成果は、「福祉社会の経済倫理的基盤」として発表された。 (2) 佐々木亘は、「共同体と連帯性」という博士論文を作成して南山大学へ提出して、現在審査を受けている。共著『経済社会学の新しい地平』に「トマス・アクィナス自然法論の現代的可能性」という論文が掲載され、これと関連する学会発表も行った。また、トマスの倫理思想における自然法と正義の位置づけに関する論文を作成した。 (3) 鈴木純は、非営利組織等における価値の多元性と経済主体の経済行動に関して、関係財の理論と「社会関係の経済理論」の展開との関連について集中的に検討し、関連分野の研究者に対して研究報告を行い、論文を発表した。また、本研究成果を含む研究代表者のこれまでの研究を纏め、『経済システムの多元性と組織』と題する研究書を刊行した。 (4) 村上寿来は、ミュラー=アルマックの経済様式理論について検討し、その理論および思想が「社会的宥和」概念を経て社会的市場経済構想の思想的な基礎づけとして重要な意味を持っていることを明らかにした。また、ドイツ社会経済パネルデータ(GSOEP)に ついて基礎的な調査を行い、予定された調査項目の利用可能性について一部限定的であることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題である「統合的経済倫理学に基づく多元的秩序理論の構築」のための基礎理論として、計画された4つの方向からそれぞれ一定の接近が進められた。また、研究初年度としては、そられの研究を含む著作・論文を順調に発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に引き続き、4つのアプローチ(「A.経済倫理学の批判的検討を通じた統合的経済倫理学の構築」、「B.中間組織と人間の連帯性に関する経済倫理学的分析」、「C.フォーマルな中間組織の経済倫理学的分析」、「D.インフォーマルな中間組織の経済倫理学的分析」)から、多元的秩序理論に関する基礎的研究を進展させる。生活世界全体の中での経済行為のあり方、および経済的価値と倫理、文化等の他の諸価値との関連について考えるとき、まずもって経済主体としての人間の行為におけるそれらの関連が人間本性に立ち返りながら説明される必要がある。この倫理的諸価値と経済行為との接合に関する考察が、われわれの提起する統合的経済倫理学の中心となる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
経費支出における端数として生じた。 次年度使用額に組み入れて使用する。
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Research Products
(10 results)