2014 Fiscal Year Research-status Report
ビアトリス・ウェッブの福祉経済学の研究:フェミニズム・福祉国家論・社会経済学
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25380260
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Research Institution | Nagaoka National College of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 公俊 長岡工業高等専門学校, 一般教育科, 教授 (00178716)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ビアトリス・ウェッブ / アルフレッド・マーシャル / ハーバート・スペンサー / カール・マルクス / 制度主義 / 進化主義 / 社会生物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、ビアトリス・ウェッブの福祉経済学の形成過程について、引き続き、ビアトリス・ポッター時代の業績について検討した。①彼女の社会進化主義が社会問題について放任主義から介入主義となった論理を、社会理論学会研究会で報告し、『社会理論研究』に発表した。②ビアトリスのマルクス価値論批判と彼女の価値論把握とが形態論的把握の側面を持つことを経済理論学会で報告し、『長岡高等専門学校研究紀要』に発表した。 ①について、平成26年4月の社会理論学会第107回月例研究会において「1886年のビアトリス・ポッター(・ウェッブ)の経済学の方法の展開」として報告した。そこでの貴重なコメントに基づき、修正を加えた論文が、佐藤公俊著「ビアトリス・ポッター(・ウェッブ)の経済学研究:1886年の独立宣言; “The History of English Economics”草稿についてのハーバート・スペンサーとの論争 」として『社会理論研究』(第15号、平成26年11月)に掲載された。 ②について、第62回経済理論学会で平成26年10月26日に、「ビアトリス・ポッターのマルクス価値論批判について」として報告した。そこでの重要なコメントを受けて修正した論文が、佐藤公俊著「ビアトリス・ポッターのマルクス価値論批判」と題して『長岡工業高等専門学校研究紀要』(第50巻,2014年11月)に掲載された。 熟年期のビアトリスの福祉経済学は、集合的な集団相互の制度主義と社会進化主義の観点を持つものである。①と②で検討した、1886年時点での彼女の経済学の方法は、個人主義的で人間の本質が現象する経済関係を対象とし、また、政策論として各社会領域における現象間の関係を論ずる社会学的経済学であった。彼女はそこから制度主義的進化論に向かって考察を進めていったのである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、ビアトリス・ウェッブの福祉経済学の形成過程について、昨年度に引き続き、ビアトリス・ポッター時代の業績について検討した。まず、1886年当時の彼女の社会進化主義が社会問題について放任主義から介入主義となった論理、および、ビアトリスのマルクス価値論批判と彼女の価値論把握とが形態論的把握の観点を持つことを確認できた。それらについて、社会理論学会の研究会と経済理論学会の大会で報告し、社会理論学会誌『社会理論研究』に発表し、『長岡高等専門学校研究紀要』に発表できた。 おおむねビアトリス・ポッター時代の経済学形成過程を彼女の社会学的経済学の把握として確認できた。以上のことから70%程度の研究目的を達成したといえる。 ただし、若きビアトリスが依拠したオウエン主義についてオウエン主義者が作ったアメリカ合衆国インディアナ州ニューハーモニーを施設の調査ができず、それらの調査は次年度に実施することにした。
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Strategy for Future Research Activity |
ビアトリス・ポッターの福祉経済学の形成過程について、これまでの諸原稿を社会進化論と制度論の側面を中心として、一つの著作の原稿にまとめてゆき、その公刊のために科研費の研究成果公開促進費「学術図書」を申請する予定である。 東京で開催される、社会理論学会の研究会と経済理論学会の大会、および、経済学史学会の関東部会において、ビアトリス・ウエッブの社会進化論と制度論について報告し、コメントを受けて、著作の原稿を修正してゆく予定である。 また、この著作で扱う対象の背景をなす協同組合主義、特に、若きビアトリスが依拠したオウエン主義派協同組合主義について、スコットランドのニューラナークの工場群の歴史遺産とロッチデールの協同組合資料館、アメリカ合衆国インディアナ州ニューハーモニーのオウエン主義者の施設の調査を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
研究担当者の一連の著作で若きビアトリスの業績を検討してきたのであるが、その背景をなす、彼女の依拠したオウエン主義とそれに連なる協同組合主義について、アメリカ合衆国インディアナ州ニューハーモニーのオウエン主義者の施設の調査をする予定であったが諸事情により果たせず、それらの調査を次年度に実施することとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究担当者の一連の著作で扱う対象の背景をなす協同組合主義、特に、若きビアトリスが依拠したオウエン主義派協同組合主義について、スコットランドのニューラナーク工場群の歴史遺産とロッチデールの協同組合資料館、アメリカ合衆国インディアナ州ニューハーモニーのオウエン主義者の施設の調査を実施する予定である。
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Research Products
(4 results)