2016 Fiscal Year Annual Research Report
Research on Beatrice Webb's Welfare Economics: Feminism, Welfare State and Socio Economics
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25380260
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Research Institution | Nagaoka National College of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 公俊 長岡工業高等専門学校, 一般教育科, 嘱託教授 (00178716)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ビアトリス・ウェッブ / 福祉経済学 / 福祉国家論 / フェミニズム / 社会経済学 / 制度経済学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は著作「ビアトリス・ポッター・ウェッブの社会経済学研究」の粗原稿の作成のために研究を進めた。経済学史学会大会報告(2016/5/22)では、ビアトリス・ポッター・ウェッブの経済学的自己形成と恩師のハーバート・スペンサーからの独立に注目し、彼女の初期の社会学的経済学の社会経済学としての意義を報告した。社会理論学会(2016/7/14)の研究会では、ビアトリスの社会経済学研究と福祉社会体制論での、新しい経済学の原理的な観点の意義を報告した。英国調査旅行(2016/11/27-12/3)では、彼女の福祉経済学の資料を収集した。近代思想研究会(2017/1/16)では、彼女のフェミニズムとジェンダーの関係を報告した。英国調査旅行(2017/3/21-27)では、「ビアトリス・ポッター・ウェッブの社会福祉経済学研究」の粗原稿作成に係る資料を確認した。 ビアトリス・ウェッブの社会福祉経済学で重要な点は、①彼女が社会的な貧困問題の解明・解決のため、貧困の原因を「診断」できる経済学を求めて研究したこと、②古典派政治経済学原理を批判し、古典派政治経済学原理を社会的病理の診断ができるように修正した経済理論を形成したこと、③貧困救済対応策としての政府介入を求めたことである。また、④スペンサーが古典派政治経済学原理主義と自由放任哲学から彼女の理論を批判したさい、ビアトリスが「反批判」して、古典派政治経済学の原理の現実類似性が薄れてきた19世紀末の貧困という社会の「病状」の「診断」と、政府介入の必要性の問題を提起した点である。 現在著作の粗原稿を作成し、調整と仕上をしている。結論として、ビアトリスの社会福祉経済学と、その前提する社会経済学は社会経済の領域論で制度経済学であること。そして、それは市場と外部の経済の社会労働編成についての新たな視点をもたらす意義のあることを論じている。
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