2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25380265
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
椎名 洋 信州大学, 経済学部, 教授 (80242709)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 微分幾何 / 情報幾何 / 指数分布族 / 漸近理論 |
Research Abstract |
研究計画書に記載した三つの研究目的別に記載する。ア)正規分布以外の多変量分布において幾何学的な諸量の具体的な値を求める:ダイバージャンスを用いた分布間の距離を計測することで、よりシンプルな漸近展開を考えた。この観点から、一般の多変量分布において条件付き分布の収束を扱った。具体的には、条件をつける側の分布が一点に集中していくときの漸近的な挙動をダイバージャンスの漸近展開で考察し、幾何学的な諸量を用いてこれを表現した。イ)指数分布以外の分布において幾何学的な諸量と推測がどう結びつくかを探る:t分布の作る族の正規分布の近傍での幾何学的な考察を行い、リーマン計量や接続・曲率等の具体的な計算結果が得られた。これらを使って統計的推測問題との関連を考察する予定である。ウ)ある分布族全体の内在的な曲率が統計的推測にとってどのような意味を持つかを探求する:この目的に関しては今のところ何ら成果は得られていない。 三つの研究目的に共通する事柄として、微分幾何学の知識を深めることが今年度の計画の重要な部分であったが、以下の本の一部を精読した。 1."The geometry of submanifolds" (Yu. Aminov, CRC press, 2001):確率分布族はそれを含むより大きな確率分布族の部分多様体として規定されることが多いが、部分多様体の外在的な幾何学的諸量を理解することが重要な課題となる。そのための基本事項を学んだ。 2."リーマン幾何学"( 加須栄篤, 培風館, 2001):この本は曲率に関して詳しく書かれており、特に部分多様体に関しての記述はこれからの研究の基礎になると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)当初予定していた三つの研究目的のうち、二つについて具体的な進展が得られたこと。2)25年度研究計画の重要な要素であった微分幾何学の知識を深める点に関して、予定通りのペースで参考文献を読み進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画通り、来年度以降は次の三つを行っていく。 1)引き続き、微分幾何学の文献を読み続けていく。特に、部分多様体に関する参考書、論文に重点を置き、基本的な知識・成果を理解するよう務める。 2)研究目的のア)とイ)に関して今年度得られた成果を、論文にして出版する、あるいは学会で発表する。 3)研究目的のウ)は今のところ全く手掛かりがつかめておらず、かなり難しい問題であると考えれらるが、これに関しても少しづつ考察を加えていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
備品を安価に購入することができたので、次年度使用額が生じた。 1)研究計画に記した分野の参考文献(本・論文)の収集に30万円程度 2)平成25年度に得られた成果を発表するために学会・研究会に参加。これに20万円程度
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