2017 Fiscal Year Annual Research Report
Riemannian manifold of multivariate distributions in view of geometrical aspects
Project/Area Number |
25380265
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
椎名 洋 信州大学, 学術研究院社会科学系, 教授 (80242709)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 情報幾何 / 推定効率 / ダイバージェンス / 漸近展開 / 最尤推定量 |
Outline of Annual Research Achievements |
「情報幾何の枠組みのなかで、多変量分布の統計的推測に関して、何らかの新たな知見を得る」という本研究のテーマに関して、最終年度では次のような成果を得た。 ある測度に従属する実数値確率分布を、有限次元の多項分布で近似する際に、区間を固定して、その区間とそれに対応する確率からなる多項分布として近似するか(固定区間の方法)、分位点を用いて、分位点からなる区間とそれに対応する確率からなる多項分布として近似するか(浮動区間の方法)は、二つの対照的な方法である。この二つの漸近的な推定効率(アルファーダイバージェンスで近似分布と本当の多項分布のずれを測り、その期待値をとったものの漸近展開)を比較し、次の結果を得た。 ①標本数の逆数の一次の項の係数は、固定区間、浮動区間いずれの場合も、区間の数/2となる。 ②アルファーダイバージェンスとマイナスアルファーダイバージェンスの平均をとったものを、分布のずれの計測に使うと、浮動区間による近似が漸近的に固定区間による近似をドミネイトする(二次の項が常に小さい)。 研究期間全体を通しての成果(昨年度までの成果)としては、次の二点が挙げられる。1)重回帰分析において、最尤推定量の漸近的推定効率をアルファーダイバージェンスの平均で計り、その漸近展開を用いて、どのように誤差項や説明変数の分布が、これに影響するかを考察した。2)より一般的に、有限次元のパラメトリックモデルにおいて、最尤推定量の漸近的推定効率をアルファーダイバージェンスで測ることで、モデルの持つ幾何的な構造が、どのように漸近的推定効率に影響を及ばすかを考察した。
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