2014 Fiscal Year Research-status Report
ノイズ、日中季節性を含む高頻度データによる金融確率過程モデルの特定と推定
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25380266
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
石田 功 甲南大学, 経済学部, 教授 (20361579)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ボラティリティ / 日中季節性 / 高頻度データ / 資産価格 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、資産価格確率ボラティリティ(SV)モデルのパラメータの推定のGMM推定における日中季節性除去の効果の分析を継続した。具体的には、[1]のカーネル法による瞬間ボラティリティのパスの推定、日次実現測度を単純な実現分散ではなく[2]の実現bipower preaverage estimator (累積分散推定量として価格ジャンプとミクロ構造ノイズに対して頑健)とするGMM推定等を行い、それらのモデル推定精度やデータへの適合度向上効果をモンテカルロ実験及びS&P500株価指数データの実証分析で確認、結果を学会で発表した(学会発表欄に記載の2件)。なお、SVモデルとしてGARCH拡散過程モデルを用いる分析も進めた。さらに、各日の日中瞬間ボラティリティのパスをひとつの関数の実現観測値とする自己回帰関数モデルを推定し、日次パスの依存性を確認した。なお、本課題に関連する資産価格ボラティリティ時系列分析の研究の成果を論文としてまとめ発表した(雑誌論文欄に記載の2件)。 参考文献 [1] Kristensen,D., 2010, Nonparametric filtering of the realized spot volatility: A kernel-based approach. Econometric Theory 26, 60-93. [2] Podolskij,M., Vetter,M., 2009, Estimation of volatility functionals in the simultaneous presence of microstructure noise and jumps, Bernoulli 15, 634-658. [3] Bosq,D., 2000, Linear Processes in Function Spaces. Springer.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
季節性をフィルターにより除去した後の価格過程のベースとなるSVモデルとしてHestonモデルを想定していたが、実証分析や実務で多用されているモデルにも関わらず実データへの当てはまりが非常に悪く、S&P500株価インデックス・データではパラメータ推定値が過程の安定領域外となった。そこで代替モデルをサーチした結果としてGARCH拡散過程モデル(Hestonモデルと同様に、CEVモデルと呼ばれるSVモデルの特殊ケース)を採用したが、このモデルの母モーメントを未知パラメータの関数として解析的に求めるのに時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
日中季節性パターンの推定において、先行研究と同様に日中変動せず一定の値であるという仮定を置いてきた。しかし、本課題の目標は、季節性パターンの時間変動のモデルだけではなく、季節項除去後のデータの簡潔な連続時間SVモデルを構築することなので、アプローチ全体の整合性を失わさせるこの仮定は望ましくない。そこで、最終年度は状態空間モデルを用いて、ボラティリティを日中季節項と日中変動する定常項に分解し推定するアプローチを開発し、この定常項のモデルとして簡潔なモデルの特定と推定を試みる。また、結果を論文としてまとめ国際学会において発表するとともに英文学術誌に投稿する。
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Causes of Carryover |
モンテカルロ実験により発生させたデータや米国S&P500株価インデックスのデータを用いた分析により、ボラティリティの季節項と定常項への分解及びそれぞれの時系列モデルを構築するアプローチ全体の完成を優先したため、為替レートや日本株式市場の株価インデックス・インデックス先物の高頻度データの購入は見送った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
為替レート及び日本市場の株価インデックス及びインデックス先物オプションのティック・データを購入する。
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