2015 Fiscal Year Research-status Report
ノイズ、日中季節性を含む高頻度データによる金融確率過程モデルの特定と推定
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25380266
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
石田 功 甲南大学, 経済学部, 教授 (20361579)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ボラティリティ / 日中季節性 / 高頻度データ / 資産価格 |
Outline of Annual Research Achievements |
株価指数のボラティリティ変動確率過程を日中季節変動コンポーネントと定常過程の積として捉え、前者をフィルターで除去したデータ(米国S&P500株価指数、日経平均株価)に簡潔な確率ボラティリティ・モデルを当てはめ統計推定するアプローチを継続し、データ適合度及びボラティリティ予測精度改善の結果を得た。具体的には、定常過程のモデルとしてHestonモデル(解析的扱いが簡単で頻繁にも散られるが資産価格データへの適合度は低い)ではなくGARCH拡散過程モデルを実現ボラティリティ・モーメントGMMにより推定する手法を開発、S&P500データに適用し適合度改善の結果を得た。また、時系列的依存性を持つミクロ構造ノイズやジャンプを含む株価指数高頻度データからボラティリティを計測する目的に適した新手法がKoike (2015)により提案されたので、これを採用した。これらの結果を国際学会において発表した(【研究発表】欄に記載の1件)。 なお、近年統計学の分野で急速に発展している関数データ解析のアプローチを応用した日中季節性を含むボラティリティ変動の分析を進め、予備的な結果を国内研究集会で発表した(2件。大阪大学数理・データ科学教育研究センター「金融工学・数理計量ファイナンスの諸問題2015」、平成27年12月3日。統計数理研究所リスク解析戦略研究センター第4回金融シンポジウム「ファイナンスリスクのモデリングと制御III」、平成27年12月7日)。 【参考文献】 Koike, Y. (2015). Estimation of integrated covariances in the simultaneous presence of nonsynchronicity, microstructure noise and jumps, forthcoming in Econometric Theory.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
金融資産価格ボラティリティを日中季節性コンポーネントと定常過程に分解しそれぞれの時間変動を分析し、ボラティリティ予測の精度を向上させるという当初目的に関しては一定の研究成果を得た。しかし、日進月歩で発展する金融高頻度データ分析分野の新手法を出来るだけ本研究課題に応用しようとしたため、研究のとりまとめが遅れた。特に、関数データ解析のアプローチが本研究課題の目的達成のために有効である可能性が判明し、この応用に取り組んだことが遅延の大きな理由となった。
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Strategy for Future Research Activity |
1年の期間延長承認申請が認められたので、これまでの統計理論・実証分析の結果を整理し、論文としてまとめ国際学会で発表すると同時に、国際学術誌に投稿する。 また、平成27年度より取り組んでいる関数データ解析の資産価格ボラティリティ変動モデリング及び予測への応用分析についてもさらに進め、論文としてまとめ国際学会で発表すると同時に、国際学術誌に投稿する。
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Causes of Carryover |
分析手法開発と米国S&P500株価及び日経平均株価データの実証分析に集中したため、外国為替レートを含む広範囲な金融市場データの購入を見送ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
日経平均株価・日経平均先物・オプション、及び、円ドルレート等の外国為替レートのティック・データを追加購入する。また、現在研究室で利用可能なPCでは実証分析に必要なスペック(メモリ容量等)が不足しているので、より高スペックなPC1台を購入する。また、研究成果発表のための国際学会参加の旅費として使用する。
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