2014 Fiscal Year Research-status Report
消費者物価指数の精度、物価の地域差、および価格分散の実証分析
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25380269
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Research Institution | Dokkyo University |
Principal Investigator |
樋田 勉 獨協大学, 経済学部, 教授 (00329129)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 物価指数 / 統計調査論 / 公的統計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は消費者物価指数の精度の検証を進めるために,国内外における消費者物価指数,価格分散,POSデータを用いた経済分析に関連する先行研究のサーベイを行うとともに,POSデータの分析を行った。POSデータの分析では,消費者物価指数の精度に関する主要な論点である,指数計算の下位算式(基本指数)の選択に注目した。代表的な下位算式であるカルリ算式,デュト算式,ジェボンズ算式,CSWD(Carruthers, Sellwood, Ward, and Dalen)算式などの性質を,消費者物価指数の計算で利用されるデータが標本抽出されたデータであることに注目し,調査対象店舗や調査対象製品の抽出方法の違いによって,下位算式間でどのような差が生じるかシミュレーションにより分析した。分析の結果,デュト算式,ジェボンズ算式,CSWD算式は,母集団指数の推定に関して,カルリ算式よりも精度が高い傾向であることや,カルリ算式の精度は他の算式に比べて,サンプルサイズやサンプルの抽出方法に依存することが示された。また,日本の消費者物価指数が7日未満の特売を調査対象としないことが,消費者物価指数に与える影響を検討するために,いくつかの先行文献で利用されている,POSデータから特売を判別する方法の比較を行った。本研究におけるPOSデータ分析の結果は,POSデータを用いて物価指数の分析を行う際,下位算式,利用するデータの集計単位,特売の処理方法などの選択が,その後の分析に大きな影響を与えることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画に従って公的統計の個票分析のための情報収集と準備を行った。情報収集の結果,公的統計の分析では明らかにすることが難しいが重要な研究課題が見いだされたため,先行文献の動向を踏まえてPOSデータ分析で代替することし,POSデータの分析を実施した。POSデータの分析結果の一部は,論文として公表した。 公的統計の分析の準備,POSデータ分析の実施・結果の公表を行っているため,本研究はおおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
物価指数に関する最近の先行研究では,POSデータの分析により物価指数の精度について検証することが多い。本研究でも,先行研究の動向を踏まえて,物価指数の精度の検討と価格分散の分析をPOSデータの活用により実施する。同時に,公的統計の個票分析を行うことにより,POSデータの分析とは異なる角度から物価の分析を行う予定である。
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