2016 Fiscal Year Annual Research Report
A Study on an Effect the Educational Disparity Alleviation Gives the Economic Disparity Correction in the Developing Countries
Project/Area Number |
25380278
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
長島 正治 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 教授 (70228013)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 部門間労働移動 / 部門間経済格差 / 部門間教育格差 |
Outline of Annual Research Achievements |
タイにおける部門間労働移動の形態は、1960~80年の期間、1980~90年の期間そしてそれ以後の期間では、その様相が全く異なる。 1960~80年年までの期間では、農村部間の労働移動が主であり、農業労働に従事する労働者が、農閑期に他の地域の農村へ移動して働くといった労働移動の形態である。これは、タイ国内の雇用の多くが農業労働に関連する雇用であったことが背景にある。 1979年の第2次オイルショックと1982年からの農産物価格の暴落のあおりを受け、農家の収入は激減し、農村部から多くの農民が出稼ぎ労働者としてバンコックへ流入した。当時、都市部に流入した農民の多くは、初等教育すら満足に受けておらず、したがって彼らは正規の労働市場に参入することができなかった。 2000年代に入ると、政府による農産物買い取り制度が充実し、またわが国をはじめとした海外からの直接投資は、東部臨海工業地域をはじめとしたバンコック周辺地域に生産拠点を形成し、多くの雇用を創出した。現在後期中等学校や職業高校を卒業した労働者が多くの地域で正規の労働者として雇用されている。本研究では、タイ国内で最も貧しいとされる東北地方出身の労働者が、バンコック周辺の工業地域でどの程度雇用されているのかについて個票調査を行った。その結果、東部臨海工業地域、アユタヤ工業地域などの東北部から離れた地域において、正規に就労する労働者のおよそ半数が東北部出身であることが明らかとなった。また、学歴が高い労働者ほど、好条件の労働環境を目指して転職する傾向が高いとの仮説を当初立てていたが、大学や工業高等専門学校などの高学歴ワーカーよりも、後期中等学校を修了したワーカーのほうが、転職の頻度が高いことが明らかとなった。
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