2015 Fiscal Year Research-status Report
豪州の国際協力と東南アジア:豪州の乾燥地域開発の経験とタイ東北部農村開発
Project/Area Number |
25380281
|
Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
宮田 敏之 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (70309516)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | オーストラリア国際援助 / タイ農業 / 東北タイ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、オーストラリアの乾燥地域開発の経験が、1970 年代から1980 年代にかけて、乾季の乾燥と雨季の洪水に悩まされてきたタイ東北部、特に「トゥングラーハーイ」地域(ローイエット県、マハーサラカーム県、スリン県、シーサケート県、ヤソートン県に跨るムーン河地域)の農村開発に与えた影響を検証することを主な目的としている。 平成27年度は、オーストラリア国立公文書館(The National Archives of Australia :Canberra)での資料調査とタイ東北部ローイエット県農業・協同組合省土地開発局ローイエット土地開発事務所での資料・ヒアリング調査をおこなった。特に、キャンベラのオーストラリア国立公文書館では、オーストラリア開発援助庁(Australian Development Assistance Bureau)の1970年代から1980年代の文書を集中的に調査した。この調査に基づき、1976年以降、オーストラリア開発援助庁が、本研究の対象とするタイ東北部「トゥングラーハーイ」地域を対象とし、土地開発プロジェクトを行い、そのプロジェクトに関わる膨大な報告・資料類を作成したことが判明した。1976年から1989年までに少なくとも75の報告・資料類が所蔵されていた。しかしながら、残念なことに、これらの資料のほぼ全てが公開されておらず、数か月以上のオーストラリア国立公文書館での査定手続きが必要であり、その後、公開されるという種類の文書であった。そのため、平成27年度においては、これらの貴重な報告書・資料の存在とその概要のみを確認するにとどまらざるを得なかった。しかし、これまで、日本国内の研究者はもとより、タイおよびオーストラリアの研究者によっても、全く利用されていないこれら報告・資料類の存在と概要を確認し、資料目録を作成することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度においては、オーストラリア国立公文書館における資料調査を行ったが、多くの資料の閲覧が困難で特別な許可の必要なものであることが判明した。その結果、資料のタイトルや判明する限りの資料概要を調査し、資料目録を作成することに集中した。また、平成27年度は、勤務校の業務として、特別にインターネット講義「新タイ経済発展論」を、一般社団法人日本オープンオンライン教育推進協議会(Japan Massive Open Online Courses:JMOOC<https://open.netlearning.co.jp/lecture/index.aspx?cid=00005J11> )にて担当することになり、平成27年6月から12月までの準備・撮影・講義字幕作成と平成28年1月と2月は講義・受講者管理に多くの時間を割く必要に迫られ、オーストラリアで調査を行うための十分な時間を確保することができなかった。そのため、平成28年度の研究継続を要請し、オーストラリア国立公文書館での資料調査と収集をできる限りおこない、研究成果をまとめる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に引き続き、平成28年度も本研究を遂行する。オーストラリア国立公文書館で、オーストラリア開発援助庁の作成したタイ東北部「トゥングラーロンハイ」地域の農村開発・土壌改良に関わる報告書・資料類について、閲覧申請をおこない、許可の下りたものから、資料調査と資料収集を集中的におこなう。さらに、バンコクおよびタイ東北部ローイエット県で収集した資料とあわせて、オーストラリアの東南アジア、特に、タイに対する国際協力について、タイ東北部の農村開発・土壌改良に関わるプロジェクトを中心にデータを整理し、研究成果をまとめる。
|
Causes of Carryover |
オーストラリア国立公文書館では、本研究で必要とした多くの資料の閲覧が困難で特別な許可の必要なものであり、十分に調査できず、資料目録を作成することに集中した。また、平成27年度は、勤務校の業務として、特別にインターネット講義「新タイ経済発展論」を、一般社団法人日本オープンオンライン教育推進協議会(Japan Massive Open Online Courses:JMOOC<https://open.netlearning.co.jp/lecture/index.aspx?cid=00005J11> )にて担当することになり、平成27年6月から12月までの準備・撮影・講義字幕作成と平成28年1月と2月は講義・管理に多くの時間を割く必要に迫られ、オーストラリア国立公文書館で十分に研究調査を行う時間を確保することができなかったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度、オーストラリア国立公文書館にて、本研究に関係する資料の閲覧申請を行い、閲覧が許可されたものを集中的に調査する予定である。オーストラリア国立公文書館の資料と、タイで収集した資料とあわせてデータを整理し、研究成果をまとめる予定である。
|