2014 Fiscal Year Research-status Report
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25380292
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
竹内 文英 北陸先端科学技術大学院大学, 先端領域基礎教育院, 教授 (00640749)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 中所得の罠 / 国際分業 / 産業構造の高度化 |
Outline of Annual Research Achievements |
比較的短期の景気循環の国際的相互依存関係というテーマについて分析した前年度までの研究を踏まえ、26年度は、途上国の比較的長期的な経済成長の軌跡について、近年注目が集まっている、いわゆる「中所得の罠」に関する実証分析を行った。焦点をあてたのは、2000年代に入り世界的に進展した国際分業が途上国の経済発展に与える影響についてであり、具体的には、中間財等の半製品の海外調達(海外アウトソーシング)が生産性や産業構造に与える影響についてである。産業構造について、他産業と比較したハイテク産業の相対的収益率という貿易論の比較優位の考え方を取り入れた指標を新たに導入し、生産性やこの新指標と海外調達との関係性を分析した結果、先進諸国と発展途上国では関係性が異なり、とりわけ、アジアの発展途上国に顕著な特徴があることが明らかになった。他地域と比べて特徴的な、海外中間財への高度の依存構造を持つアジアでは、海外調達が国内の生産性の改善や産業構造の高度化につながりにくい。以上の研究結果はすでに原稿化され、他の研究者の関連研究とともに27年度中に海外の出版社より出版されることが決まっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
26年度の研究実績はほぼ当初の計画通りの内容であった。主なテーマであった「中所得の罠」に関する実証分析については、「研究実績の概要」で述べた通り、研究結果を出版することが決まった。なお、25年度から進めている途上国経済を含めた為替レートのパススルーの変化の要因についての考察は、26年度内に原稿の執筆を完了する予定だったが、若干計画に遅れが生じている。利用データの再チェックや追加があった先行研究の確認等に時間を要したためである。
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Strategy for Future Research Activity |
途上国を含めた世界景気の動向をマネタリーな観点から分析する目的で始めた、2000年代以降のパススルーの構造変化に関する研究を完了させる。利用データの再チェックや追加があった先行研究の確認等の作業もほぼ完了しており、27年度の早い段階で原稿の取りまとめを終える予定である。
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