2013 Fiscal Year Research-status Report
非相似拡大的選好と内生的時間選好による動学的貿易理論の再構築
Project/Area Number |
25380296
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
岩佐 和道 神戸大学, 経済経営研究所, 准教授 (00534596)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
趙 来勲 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (70261394)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 動学的貿易理論 / 非相似拡大的選好 / 内生的時間選好 |
Research Abstract |
本研究の目的は、非相似拡大的選好および内生的時間選好を導入することで、より現実に即した動学的貿易モデルを提示し、それらのモデルの基本的な性質を明らかにするとともに、長期的な貿易利益や貿易と各国間の所得格差等に関する理論分析および政策の提言を行うことである。 25年度には主として、非相似拡大的選好に関するこれまでの研究に基づき、家計の選好に焦点を当てた動学的国際貿易モデルを構築し、貿易と経済成長に関する理論研究を行った。そして劣等財が存在するもとではこれまでの知見とは異なり、先進国と発展途上国との貿易により、両国の厚生水準がともに閉鎖経済における定常状態よりも改善(改悪)する可能性があること、不決定性が起こる場合には経済成長に伴い各国の貿易パターンが逆転しうること等を示した。上記の研究と並行して、内生的時間選好を導入したモデルを構築し、家計の所得格差や不決定性の発生に関する理論研究を開始した。このモデルにおける家計の異質性は、一方の家計は資本を保有し賃金と資本所得を得ることができるが、もう一方の家計は資本を保有することができず、賃金所得のみを得て消費のみを行うと仮定することで生じている。そしてこれらの設定のもとでは、全員が資本保有が可能な場合の平等な経済における定常状態よりも、少数の家計のみが資本を保有する経済における定常状態の方が、全員の厚生水準が高いという結果が得られた。この結果は経済成長と不平等に関する興味深い知見を提供しており、その理論分析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初研究計画通りに理論モデルの構築が進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究を進展させ、学会での発表などを通じて論文の完成度を高めていく。
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