2013 Fiscal Year Research-status Report
体制移行期の中国における国有と非国有部門間の賃金格差に関する制度的・実証的研究
Project/Area Number |
25380297
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
馬 欣欣 京都大学, 薬学研究科(研究院), 講師 (80634253)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 中国経済 / 賃金格差 / 国有部門 |
Research Abstract |
平成25年度に、中国における国有企業と非国有企業間の賃金格差に関する研究を行い、主な研究実績は以下の4点にまとめられる。 第1に、制度的研究を行った。賃金格差が生じた中国特有の賃金政策・制度的要因を考察するため、中国の大学・研究機構に出張し、中華人民共和国が成立した後の賃金政策・制度に関する歴史的資料を取集し、学術論文「賃金政策―体制移行と部門間賃金格差」を作成した。この論文は中兼和津次編著(2014)『中国経済はどう変わったか―改革開放以後の経済制度と政策を評価する』国際書院の第13章として収録され、学術書籍として公刊されている。 第2に、平成26年度に行う予定である企業内部の賃金制度に関する実態調査に関しては、中国に行って海外協力研究者と一緒に実態調査の実施に関する打ち合わせを行い、ヒアリング調査の調査票を設計した。 第3に、学会・研究会・国際コンファレンスで報告し、研究成果を発信できるように努力した。主な内容は以下の通りである。①Ma Xinxin (2013) “Changes in Wage Structure and Wage Differentials in China’s Public and Private Sectors during Economic Transition: a Comparison of 1995 and 2007,” Ninth Annual Conference of the Asia-Pacific Economic Association, Osaka University, Japan, July 27-28, 2013.②馬欣欣(2013「中国における国有部門と非国有部門間の賃金格差の決定要因」2103年アジア政経学会全国大会、立教大学、2013年6月15日。 第4に、中国側の研究機関と連携し、共同研究を行い、中国家計所得調査の個票データを入手した。研究課題に関する実証分析の基礎的作業を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成25年に歴史的視点から賃金政策・制度の変遷に関する研究を推進し、具体的には経済史の研究手法を活用し、歴史資料を取集したうえで、計画経済期(1949~1977年)および市場経済移行期(1978~現在)の2期に分けてそれぞれの時期における賃金政策・制度に関する研究を行う計画を立てた。 この研究計画にしたがって、まず、日本貿易振興会アジア経済研究所、中国北京市図書館、中国人力資源与社会保障部労働科学研究院文献センター、北京師範大学図書館に行って、1949年以降の主な賃金政策・制度に関する資料を取集し、複写の作業を行い、学術林文を作成した。次に、研究結果を日本国内学会(中国経済学会、アジア政経学会、日本経済学会)、国際学会(Asia-Pacific Economic Association)で報告した。研究成果を学術書籍での公表を行い、社会に発信することにも努力した。また、中国大連、北京に出張し、ヒアリング調査に関する質問項目の設計に関する研究の打ち合わせを行い、ヒアリング調査の質問票を設計した。 さらに、平成26年度、平成27年度研究の準備作業として、中国家計所得調査の個票データを入手し、研究課題に関する実証分析の基礎的作業を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後(平成26年度)、まず、中国現地で企業向けのアンケート調査が困難であるが、国有部門(国有企業:北京1社、大連1社)と非国有部門(北京1社、大連1社)を対象とするヒアリング調査を実施し、これらの調査結果を参考にして仮説を設定し、実証研究を行う。また、日系企業向けのセミナーで報告し、日系企業や一般読者向けの雑誌での公刊を行い、社会還元を行う。 次に入手した中国家計所得調査のデータを活用し、時系列のデータにおける共通する変数を設定してデータセットを構築し、国有部門と非国有部門における賃金構造に関する実証分析を行う。分析結果に基づいて学術論文を作成し、国内学会(中国経済学会JRACE、日本経済学会JEA)で報告した後、論文初稿を修正し、学術誌に投稿する予定である。
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Research Products
(6 results)