2014 Fiscal Year Research-status Report
羽田再国際化とLCC市場参入を活用した日本の拠点空港の国際競争力向上に向けた研究
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25380298
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松本 秀暢 神戸大学, 海事科学研究科(研究院), 准教授 (70294262)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 国際拠点(ハブ)空港 / 国際航空旅客流動 / 国際航空貨物流動 / 都市の国際競争力 / 重力モデル / 新空港開港効果 / 東京国際空港(羽田空港)再国際化 / 国際情報交換(オランダ) |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度(2年目)においては、動向調査/理論研究として、以下の2つの研究目的(ⅢおよびⅣ)について取り組んだ。 Ⅲ. 航空部門のCO2排出抑制政策に関する動向調査(動向調査) 研究計画としては、2012年から航空部門への欧州連合域内排出量取引制度(EU ETS)を適用したEUをはじめ、航空部門のCO2排出抑制政策について、世界の動向を詳細に調査した。そして、市場メカニズムを反映した制度設計を行なった。研究方法としては、ICAOやIATA等の国際航空関連の国際機関、あるいは各国による地球温暖化ガス排出規制の取り組みについて、文献や資料等のレビューを行なった。 Ⅳ. 環境コストを内部化した学際的モデルの開発(理論研究) 研究計画としては、経済学、OR、地理学、工学、あるいは経営学等の既存の研究分野で蓄積された航空ネットワーク形成とハブ空港配置に関するモデルおよび分析手法を適用/拡張/融合することによって、環境コストをはじめとする外部不経済を内部化した新しい学際的モデルを検討した。研究方法としては、立地論における輸送費用最小化モデル(Weber Model)やORにおけるモデル(Single Allocation Model、Multiple Allocation Model)等に加え、都市交通で構築された混雑、騒音、振動等に起因する外部費用の推定手法と地球温暖化ガス抑制対策を取り上げた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
航空分野で国際的に評価の高い学会(Air Transport Research Society)で研究成果を発表したこと、そして国内外の研究者の依頼によって、学術研究書籍2冊(「Air Transport in the Asia Pacific」および「空港経営と地域-航空・空港政策のフロンティア-」)を共同執筆したことは、本研究成果が国際的/国内的に高く評価された証左であると判断できる。
ただ、本年度の研究計画は基本的に達成されたといえるものの、「Ⅳ. 環境コストを内部化した学際的モデルの開発(理論研究)」については、モデルの精緻化に改善の余地があり、今後も引き続き取り組む必要がある。
以上の理由から、本研究の現在までの達成度は、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、本年度(平成26年度(2年目))の研究成果を発展させ、EUをはじめとした航空部門のCO2排出抑制政策について、世界の動向をさらに詳細に調査すると同時に、外部不経済を内部化した新しい学際的モデルを開発について引き続き取り組み、理論研究をさらに推進する。
そして、前年度(平成25年度(1年目))と本年度(平成26年度(2年目))の研究成果を踏まえた上で、次年度(平成27年度(3年目))において、アジア地域における航空ネットワーク形成とハブ空港配置に関して、今後、同地域でも義務付けられると予想される航空部門における地球温暖化対策に関する幾つかのシナリオを想定した実証分析と政策シミュレーションを行った上で(実証研究)、我が国の拠点空港がアジア地域の国際航空輸送ハブとしての競争的地位を回復するための政策を提言する予定である(政策提言)。
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Causes of Carryover |
人件費・謝金として計上していた研究補助(データ入力)、および英語論文校閲については、自分で行ったために、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度には、多くのデータ入力の必要性が予想されることから、これらの研究補助等に充当する予定である。
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Research Products
(7 results)