2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25380299
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
濱口 伸明 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (70379460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 昌久 甲南大学, 公私立大学の部局等, 特別客員教授 (90281112)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 産業立地 / 国際供給網 / 強靭性 / 事業継続計画 |
Outline of Annual Research Achievements |
交易費用の低下により中間財の取引が容易になったことに加えて通信費用が低下したことにより社内の事業所間調整コストが大幅に低下したことによって、知識労働者間の知識交換が必要な本社機能と非技能労働集約的生産機能が、先進国のコア地域と発展途上国に分化した供給網が国際的に形成される。産業組織と空間構造における多階層の構造は、それが正常に機能している限りにおいて生産性を向上させる。しかし、この階層構造の中では企業間に交渉力の非対称性があり、川上領域を占める中小企業のサプライヤーは企業単位で災害に対する強靭性を高める投資の収益が大企業に吸収されるかもしれないと考えるホールドアップ問題が生じる。サプライチェーンの強靭化に必要な投資の費用が内部化されないためにシステム全体にとって最適な水準を下回り、システムを脆弱にする。さらに、費用最小化目的でサプライチェーンがインフラストラクチャーが脆弱な発展途上国の拡大していくことによっても、巣ステムは脆弱化する。このことを東アジアの中間財取引貿易の月次貿易データを用いて実証的に分析すると、貿易量の拡大とともに不安定性(volatility)が増していることが確認された。本研究成果から、サプライヤーと最終財生産左派の間でサプライチェーンの強靭化に関する便益と費用を適切に分担して投資を最適水準に近づける契約を促す制度設計の必要、発展途上国において、事業所単位で対応しえない強靭化への対応にとり進出先の地域単位での事業継続計画(BCP)構築の必要性、およびそのためのODAの活用により日本企業の国際競争力向上と発展途上国における雇用創出の両方に貢献しうること、などが政策含意として得られた。
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Research Products
(1 results)