2014 Fiscal Year Research-status Report
寡占市場における環境配慮財の研究開発と競争政策についての理論・実証研究
Project/Area Number |
25380303
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大内田 康徳 広島大学, 社会(科)学研究科, 准教授 (40321517)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 環境研究開発 / 寡占市場 / ゲーム / 競争政策 / 環境配慮財 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、寡占市場における環境配慮財の開発や環境配慮設計の拡充などの環境R&Dを主なテーマとしている。また,本研究課題では,企業の戦略的な行動や環境R&Dと市場効率性の観点からの望ましい政策を検証しつつ,これまで希薄だった領域に成果の蓄積を行う。 今年度は、まず、製品差別化と投資のスピルオーバー効果が存在する複占市場における、プロダクトイノベーションに関する分析を行った。具体的には、[1]R&Dと生産の両段階で非協力行動をとる場合、[2]共同研究開発の下での非協力投資を行い、生産でも非協力行動をとる場合、[3]R&Dでは協力投資を行い、生産段階では非協力行動をとる場合、[4]共同研究開発の下でのカルテル投資を行い、生産では非協力行動をとる場合、[5]R&Dでの非協力投資と生産段階でのカルテル生産を行う場合、[6]共同研究開発の下での非協力投資を行い、生産ではカルテルを行う場合、[7]R&Dと生産の両段階の両方でカルテル行動を行う場合、[8]共同研究開発の下でのカルテル投資を行い、生産でもカルテルを行う場合、の8つのシナリオの下で比較を行った。 主要な結果は次のとおりである。企業にとってはシナリオ[8]が望ましいが、社会的にはシナリオ[4]が望ましい。消費者余剰最大化の観点からは、製品差別化の程度が低い時にはシナリオ[5]が望ましく、そうでない時にはシナリオ[4]が望ましい傾向がわかった。 また、cleaner production technologyに関する環境R&Dの知見として、次の主要な結果を得た。製品差別化のある複占市場で政府が排出税率をコミットできるとき、製品差別化の程度にかかわらず企業間での投資コーディネーションは社会的に認めるべきではない。 これらの分析結果は、環境配慮財の分析を多様な文脈の中で考察するために必須のものであり、最終年度での総括において用いられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初期の目的に対して、基礎段階および関連研究などおおむね順調に進行している。投稿中の原稿や投稿準備中の原稿もあり、次年度で、更なる発展につながるものと予想される。
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Strategy for Future Research Activity |
国際的に評価されているジャーナル等の最新成果や研究動向にも十分配慮しながら、競争力のある成果となるように工夫したい。
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Causes of Carryover |
国際的に評価されるジャーナルに掲載された最新の研究動向を反映させて解析作業をやり直しせざるを得ない状況に至った。そのため、英文校閲や成果の発表などを次年度に実施することを余儀なくされた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
英文校閲や成果の発表などを次年度の早い段階で実施する。研究計画期間全体を通しての事業実施可能性に関係する影響はない。
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Research Products
(3 results)