2015 Fiscal Year Annual Research Report
ブロードバンド環境下のOTT主導型エコシステムに関する研究
Project/Area Number |
25380304
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
実積 寿也 九州大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (20325690)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 経済政策 / ブロードバンド / OTT / インターネットガバナンス / エコシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、平成25年度実施の研究(Over The Top[OTT]産業をめぐる規制フレームワークやネットワーク中立性原則、OTTサービスへの消費性向に着目した研究など)、および、平成26年度実施の研究(OTT音声通話サービスをめぐる参入障壁の計測、OTT産業を支えるブロードバンドインフラをめぐる情報非対称性の現状調査など)の成果を中間的にとりまとめ、学会誌等により公表した。また、これまでの研究をさらに深化させ、得られた知見をブロードバンドエコシステムの変化という大局的観点から再構成することを試み、ブロードバンド産業のプラットフォーム機能の役割の顕在化とそれがOTT産業を含むエコシステムにもたらす影響、さらにはそれに係る政策課題の所在について6月にスペインで開催された国際電気通信学会(ITS)などで報告し内外の有識者と議論を深めるとともに、論文を学会誌に投稿した。 一方、消費者行動に関する調査については、OTTサービスのなかでもシェアを急速に増大させつつあるビデオ画像に対する性向を実証的に解析し、今後、論文としてまとめるべく作業を進めている。ITU全権委員会会合のフォローアップ調査については、インターネットガバナンス会議への参加を通じて関連の情報の入手を行っている。本件については引き続き調査を継続中である。 また、議論の過程や関連する情報収集において、OTT市場に対するブロードバンド産業の積極的介入であるゼロレーティングの問題が明らかになり、OTT主導型エコシステムの成否を左右する可能性が予想されるに至っている。新たに見出された本論点に関しても平成27年度は精力的に調査を行い、その結果を10月にロサンゼルスで開催された国際電気通信学会(ITS)で報告した。
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