2013 Fiscal Year Research-status Report
貿易構造の変化からみた生産システムの定性的・定量的分析
Project/Area Number |
25380305
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石田 修 九州大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (40184527)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アジア域内貿易 / BEC分類 / 現地生産 |
Research Abstract |
ComtradeデータのHS分類に依拠し、貿易データ整備を行った。ただし、データ保存用のHDDが故障したため、大半のデータが消失した。そのため、データの再構築を行う必要となった。今年度は、BECデータによるアジア域内の貿易構造の変化を分析すことしかできなかった。ここから、以下のような、アジア域内の貿易構造が観察された。 まず、東アジアにおける日本の部品、資本財の輸出貿易シェアの割合の減少が著しいことが明らかとなった。また、東アジアの輸入においても日本からの部品貿易の割合の低下が著しい。しかし、BECでみた日本の東アジアのへの輸出・輸入の割合は、大きくなっている。このことと併せて考えるならば、日本自体はアジアへの依存度を高めながらも、日本とアジア域内の生産システムのリンケージが相対的に弱まっていることが類推される。さらに、部品貿易の単価の比較により、貿易構造の特性の把握が必要であるが、これは、次年度の課題として持ち越された。 それに対して、東アジアにおける中国の貿易の割合は非常に大きくなっている。とりわけ、中国の東アジアにおける部品を含めた中間財、資本財の輸出の割合の増加は著しい。また、輸入では、加工素材の輸入の割合が低下しているという興味ある動向がある。これは、輸送費等のかかる加工素材の中国での現地生産によるものと考える。素材産業の中国への投資・現地生産に関する新聞記事からも確認できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
データ保存用のHDDが故障したため、大半のデータが消失した。そのため、データの再構築を行う必要となった。
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Strategy for Future Research Activity |
財品目分類間の比較(部門間の比較)による多様化と集約化,そして,財分類内部(部門内部)における多様化と集約化のデータ整理を再度おこなう。また、貿易の高度化分析と需要構造の変化を分析するために、以下を行う。国連のCommtradeデータベースを用いて,Hausmann etal.(2007),Schott(2008),石田(2004)の高度化に関する指標に基づいて,アジア域内ばかりではなく,欧米諸国も含めて,アジア諸国の貿易構造の特徴を検出する。また,それぞれの指標を吟味し,高度化の概念を再検討する。このような作業を通じて,本研究が依拠する高度化指標を提示する。さらに、消費財貿易のアジア域内・域外貿易の量的・質的構造変化とアジア域内の中間財貿易の構造変化を対応させて,生産システムの変化を追求する。
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