2016 Fiscal Year Annual Research Report
Qualitative and quantitative analysis of Global production system viewing from a structural change in international trade
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25380305
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石田 修 九州大学, 経済学研究院, 教授 (40184527)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 生産システム / 制度変化 / 政策変化 / 多国籍企業 / 直接投資資源 / 資源の分離 / 金融化 |
Outline of Annual Research Achievements |
生産システムの定量分析として、日本、中国 韓国、台湾、シンガポール、香港、タイ、マレーシア、フィリピン、インドネシア、ベトナムの貿易構造を分析した。なかでも、部品の貿易で顕著な変化として、アジアにおける日本と中国の変化である。日本はアジアの中で、輸出も輸入も相対的に低下しているのに対して、中国の相対規模は拡大している。このことは、部品貿易からみたアジアとの関係を低下させているというデリンク(delink)と定義した。本年度は、このような数量的変化の特性を企業行動の変化と制度・政策の側面か考察することに焦点を当てた。 企業行動変化として、直接投資の役割の相対的低下に注目した。直接投資を所有による投資資源のパッケージ移転と考える。資源パッケージは、70年代のユーロダラーの還流のなかで、多国籍銀行が資金を途上国にファイナンスする役割を担い、その他の資源(技術・経営ノウハウ・マーケティング)と分離する。そして、多国籍企業と途上国とのパワーバランスが変化し、所有をともなわない投資の新形態として投資資源の多様な取引が成立する。また、後発の日本・西ドイツ企業が直接投資を分離して、委託生産などを促進した。 さらに、米国の政策・制度変化のなかで進展した金融化が、企業行動に大きなインパクを与えた。ステークホルダー価値から株主価値を重視したガバナンスシステムの移行が、企業のコアへの投資を促進し、周辺業務をアウトソーシングさせることとなる。ここに、企業の補完関係を基礎にした生産システム構築の基盤が形成される。垂直的統合形態の企業による取引費用の視点から、コアへの投資による補完関係の形成とビジネスモデル構築による企業関係のガバナンスの主導である。 このような所有(FDI)の比重の低下と企業の関係形成が、日本の部品貿易の相対的低下・デリンクを引き起こす背景と考える。
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