2013 Fiscal Year Research-status Report
FTA交渉と農業問題に関する研究 ―日韓の農産物の競争力比較を中心として―
Project/Area Number |
25380306
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
深川 博史 九州大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (30199153)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | FTA / 農業問題 / 韓国 |
Research Abstract |
本研究では、FTA(自由貿易協定)交渉上の課題として農業問題をとりあげ、農業競争力やその背景について分析を行うこととした。本年度は、4年間の研究期間中の初年度であり、本研究期間の中では準備過程として位置づけられる。初年度の計画は、予備的調査と資料収集を行い、専門家より研究内容や研究手法についての意見聴取を行うこととした。具体的には、FTA研究や農業問題研究に関わる研究機関を訪ねて、資料を収集し、また専門家より意見を聴取することであった。 このような計画の下に、本年度は、先ず、FTAと農業問題に関わる先行研究について検討した。FTAと農業問題については、多くの研究が公表されているが、競争力の背景に至るまで分析を行ったものは限られている。それらの限られた資料を収集し、先行研究の整理作業を行った。また、FTAについては、国内農業が問題となるケースが多いことから、農業競争力の実態について、専門家からインタビューを行った。FTAについて、日本に先行した地域では、FTAに関わる経験が豊富であることから、インタビューでは示唆に富む説明が多く聞かれた。さらに、初年度の成果を2本の英文論文にまとめた。1本は、農業競争力の背景分析に関わるものであり、競争力低迷の要因について統計分析を行った。もう1本は、FTAによる貿易拡大が、国内農業に与える影響について考察したものである。いずれも先行研究を踏まえつつ、新たな考察を加えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、4年間のプロジェクトのうちの、研究初年度であることから、準備過程として、先行の検討や専門家からの意見聴取を中心に行うこととした。計画は予定通りに進行し、先行研究の検討、及び、専門家インタビューを行うことができた。さらに、入手した資料を検討したうえで、成果論文を2本執筆した。1本は、農業競争力の背景分析に関わるものであり、競争力低迷の要因について統計分析を行った。もう1本は、FTAによる貿易拡大が、国内農業に与える影響について考察したものである。いずれも先行研究を踏まえつつ、新たな考察を加えた。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年4月に日豪FTAが合意され、TPPについても交渉が山場を迎えていることから、FTAに関わる研究資料や研究文献が、数多く公開されることが予想される。FTA研究は、これらの新しい局面についても、研究の射程に入れていく必要があると思われることから、日韓FTAだけでなく、日豪FTAや、TPP、さらには、米韓FTAについても、先行研究を検討する予定である。とくに、豪州との間では、日本に先行して、韓豪FTAが合意に至っており、米国との間でも、米韓FTAを発効させている。これらのFTAが国内農業や農業競争力にいかなる影響を与えているのか、検討したいと考えている。
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