2015 Fiscal Year Research-status Report
不完全情報,限定合理性と経済政策効果:複眼的アプローチによる検証
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25380308
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
工藤 健 長崎大学, 経済学部, 准教授 (70404316)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 国際資本移動 / 金融政策ルール / 超低金利政策 / 物価指数 |
Outline of Annual Research Achievements |
「不完全資本移動下の超低金利政策」では、国際資本移動が不完全な下で、均衡実質利子率が極度に低下するようなショックが生じる場合の金融政策の効果について、単純な理論モデルとシミュレーションにより分析した。その結果、物価安定と資本の最適配分の間に相克が生じる恐れがあること、一定条件下で引き締め気味の金融政策が最適になり得ることが示された。この成果は、『長崎大学経済学部100周年記念論文集』のチャプターとして刊行予定である。 また、「金融政策運営におけるコア・インフレーション指標の検討」では、財による価格調整速度の違いを反映したコア・インフレーション指標を定義し、既存の特定品目除去や刈り込み平均に基づく指標と比較検討を行った。経済厚生分析の結果、既存の指標でも厚生損失は小規模にとどまることがわかった。この成果は2015年12月に長崎大学経済学部ファカルティセミナーで報告され、現在、国際学会報告への投稿に向けて改訂中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記の判断は、以下の理由による。 (1)金融政策ルールに関する論文の刊行および国際学会での報告を目指してきたが、進捗の遅れから、それぞれ2016年度前半にずれ込む見込みである。 (2)限定合理性の下での政策反応に関して、事前調査の検討で判明した不備について、経済主体の実験デザインを再検討し、準備を進めてきたが、2015年度中の実施には至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画より遅れが生じている「金融政策ルールの分析」に関する論文の刊行については、2016年度前半に実施できる見込みである。 当初計画から研究デザインの変更を検討している「限定合理性の下での政策反応分析」については、研究会やセミナーで交流している他大学や研究機関の研究者との協働など、実施体制を整備し、実験の実施に向けて推進する計画である。
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Causes of Carryover |
金融政策ルールに関する論文の執筆遅れから2015年度内の国際学会報告を断念したことと、限定合理性の下での政策反応分析について実験の実施が遅れたことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国際学会報告については、2016年度中に実施できる見込みである。経済実験については、外部研究者との協働による実施も含めて検討している。
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