2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25380311
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
石黒 靖子 兵庫県立大学, 経済学部, 教授 (60247947)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 経常収支不均衡 / 国際投資残高 / マーストリヒト収斂条件 / ユーロ導入国 |
Research Abstract |
25年度には以下の研究活動を行った。 ①EUの統合の進展程度や域内格差、金融的混乱の実態調査および統合理論に関する先行文献を収集し,サーベイを行った。現在も継続中である。 ②OECD,IMFおよびEUが発表しているEU諸国のデータをWebおよびDVDにより入手に努め,GNIや経常収支,人口など基本的データに加え,特に域内格差の指標となる対外資産残高や域内貿易データも入手した。 ③理論分析を行う準備作業として,収集したデータによりユーロ導入国における対外資産保有格差(国際投資残高:IIP)について計量的分析を行い,良好な計量結果を得ることができた。これにより1995年頃より導入国間における格差拡大を確認した。計量結果は論文にまとめた。(『地域統合の深化と経常収支の推移に関する計量的分析』, Discussion Paper No.65,Institute for Policy Analysis and Social Innovation, University of Hyogo.)また,この結果をうけて,現在モデル分析を行っている。これは,ユーロを念頭に同一通貨を用いる二国間によるKrugmanタイプの集積モデルを構成して、経常収支の不均衡にともなう資産移動が域内の産業集積に与える短期的・長期的な影響、および域内国家間の名目格差と実質格差の乖離程度との関係に関して理論的な考察である。26年度は考察結果を論文として発表する予定である。 ④25年度はEUの現状に関する知識を深めさらに情報収集を目的として、外部研究者を招聘してオープンな研究会を2回開催した。(第1回はH25年6月14日に高屋定美先生(関西大学商学部教授)により演題「欧州債務危機と欧州統合のゆくえ」(於:兵庫県立大学商科キャンパス),第2回はH25年12月4日に羽森直子先生(流通科学大学総合政策学部教授)により演題「ユーロ危機の原因」(於:兵庫県立大学商科キャンパス))。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
25年度に予定していた研究活動のなかで,必要なデータの収集とオープンな研究会の開催はほぼ計画通りの活動ができた。収集したデータは計量的手法による分析を行った。その過程で,近年の計量的手法の進歩へのキャッチアップと,使用する計量ソフトの習熟に多くの時間を割くこととなったものの,良好な推計結果を得ることができ,当初予定のなかった計量分析の論文にまとめることができたのは計画以上の成果である。次の展開である理論分析は計量論文の執筆をうけ25年度予定分が当初計画よりやや遅れているもの,総じて順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度に行うのは次の3点の予定である。 ① 継続して資料収集を行う。 ② 25年度から継続中のEUを念頭においた単一通貨を用いる二国Krugmanタイプの集積モデルによる,経常収支の不均衡にともなう資産移動が域内の産業集積に与える短期的・長期的な影響,および域内国家間の名目格差と実質格差の乖離程度との関係に関する理論的な考察を継続する。さらに可能ならば,東アジア地域におけるFTAの広がりを念頭において、変動相場制下のモデルを構築し、同様の分析を行う。これら考察結果を論文として発表を目指す。 ③ 26年度は引き続き学内・外の研究者をスピーカとする研究会を開催する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
26年度使用額が生じた状況は次の様なものである。①データ整理などを行うために購入したパソコンに関して,購入時期がモデルの更新時期とかさなったため当初予定していた性能と同程度のものが予算より10万円ほど安く購入できた。②予定していた東京でセミナ-が入試と重なり参加出来なかったため,国内旅費が未使用となった。③英語に論文執筆のタイミングがずれ年度内に英文校正が利用できなかったため,英文校正料が未使用となっている。 26年度の支出計画は,当初計画による1,000,000円と25年度未使用の233,540円の合計1,233,540円である。当初計画による支出は,データおよび資料購入費30万円,海外調査旅費40万円,英文校正料15万円,統計加工の補助および専門知識の提供15万円を予定している。25年度未使用分は昨年度末までに利用できなかった英文校正を行う予定でありその費用として15万円,また,国内旅費約8万円を予定している。
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Research Products
(1 results)