2013 Fiscal Year Research-status Report
東日本大震災後の地域景気動向の把握-月次の都道府県別GDPの推計
Project/Area Number |
25380318
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Atomi University |
Principal Investigator |
山澤 成康 跡見学園女子大学, マネジメント学部, 教授 (50348166)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 県民経済計算 / 災害の経済学 / ナウキャスティング |
Research Abstract |
2013年度は、まず都道府県別GDPの動きを概観するため、政府最終支出、純輸出入・移出入について、試算した。 政府最終消費支出については、自治体別の人件費、物件費、維持補修費と医療費などから近似できることを回帰分析により確認した。決算が発表されてない期間の人件費の推計や、年度値の月次分割の方法などには改善の余地がある。 純輸出・純移出については、輸出・輸入、移出・移入のそれぞれが発表されていないため、収支ベースの数値を直接推計せざるを得ないことがわかった。それを回帰分析で近似する方法をいくつか提示した。これらに、内閣府の地域別総合支出指数の消費、住宅投資、設備投資、公共投資を合わせて、都道府県別月次GDPを計算した。 都道府県別GDPを使った分析として、被災3県の間接被害の計算を行った。震災前のデータで、被災3県と相関の高い都道府県を探し出し、それらの動きから、震災がなかった場合のGDPの動きを推計した。震災がなかったと仮定した場合のGDPと現実のGDPの差を間接被害とみなすことができる。震災がなかったと仮定した場合のGDPの動きは、被災3県と相関が高い都道府県のデータを使って推計した。この方法には改善の余地がある。 間接被害を計算すると、震災がなかった場合より現実のGDPが高い状態が続いていることがわかった。復興需要が大きいということになるが、純輸出の推計値は輸入を過小評価している可能性があり、推計した月次GDPは実際にはもっと低い可能性のあることが判明した。これらについてさらに改善していきたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画では、年度政府最終消費、2年度目に純輸出・純移出を推計する予定だったが、両指標を予定より早く推計することができた。しかし、両系列とも改善の余地があり、さらに精度の高い推計値を作るべく、工夫が必要となる。
|
Strategy for Future Research Activity |
政府最終消費、純輸出・純移出ともに、推計精度を上げていく必要がある。 今後の研究の推進方策として、主成分分析を使う方法がある。最小二乗法ではサンプル数が小さい場合、大量のデータを使うことができない。しかし、一度主成分分析にかけることにより、多量の変数を少数の変数に置き換えることができる。この方法をGDP全体やその内訳項目について適用してみたい。そのほか、時系列分析などさまざまな方法を試してみたい。 また、被災3県の分析については、災害の経済学の過去の研究などを参考にして、研究方法を考えたい。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
旅費については、国際学会の発表が次年度に多くなることを考慮した。データ入力については、当初推計では必要がなかったため人件費を支出していないが、今後必要となる。 学会での発表を中心にして、そこで指摘された点を改善し、研究の充実を図りたい。
|
Research Products
(7 results)