2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25380328
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
阿部 一知 東京電機大学, 未来科学部, 教授 (60339067)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 国境効果 / 国際貿易 / 取引費用 / 自由貿易協定 |
Research Abstract |
本年度(25年度)は、計画に基づき、サーベイ、通商制度調査、データ収集などの基礎作業と暫定的な計量分析を実施した。また、実証分析のパイロットスタディを、不十分ながら実施した。 (1) 文献のサーベイ調査は、外部の協力者の提供により、基礎論文が電子的に入手できたため概ね円滑に進んでいる。ただし、内部メモなどのマイナーなものが数本分、未入手である。また、一部の論文は、電子ジャーナルになっていないため、図書館等でコピーすることとなるが未作業である。 (2)EUとNAFTAの通商制度調査については、基本的な資料をネット上から収集するにとどまり、文献の購入まで至っていないが、入手済みの資料により、制度の概要は整理済みである。 (3)実証分析用のデータ収集については、電子データで入手可能なものは入手済みであるが、図書館等からコピー・手入力することが必要なデータについては、作業員の確保の困難に伴って入手が遅れている。また、時間的な制約から、データ入手のための海外出張は実施できなかった。出張は、26年度に実施することとしている。 以上のデータ収集作業等から作成した暫定的データベースに基づいて、簡易なgravity modelの推計を行った。推計精度は不十分ながら、概ね符号条件に合致した推計結果が得られている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は、全体として概ね順調に進展している。研究項目としての3項目(文献・論文サーベイ、通商制度調査、実証分析用データ収集)はすべて着手済みである。資料・データ収集は、電子的に可能なものについては大半の入手が完了している。ただし、図書館等からの手作業による資料収集には若干の遅れがある。また、データ収集や資料調査の本格的な実施のための海外出張については、面談先の都合などにより実施できなかった。これらについては、26年度中にすべて実施する予定である。 なお、初年度の重要な作業目標である、暫定的なモデル推計については、概ね良好な結果が得られている。このため、研究の完成年度である27年度には研究完了できる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度の研究計画に基づき、実証分析を行い、これを完成させる。その際、25 年度に積み残したデータ入力作業(作業員による手作業)、海外出張を重点的に行う。26年度には、実証分析を進めつとともに、日本及びアジアのFTA・EPA の締結に向けて、政策提言を形成する。学会やセミナーの発表や専門家との議論を行い、成果を論文発表するとともに、機会があれば政府への政策提言などを行う。具体的には、 ① 実証分析の完成:推計を重ね、EU、NAFTA に加え、日本における国境効果の実態と、FTA による諸条項による国境効果縮減効果を推計する。必要に応じ、データを更新・改良する。 ② 学会・セミナー等発表:成果の発表を学会や専門家のセミナーなどで行う。また、小規模のワークショップを主催し、国内の専門家と議論する。 ③ 政府への政策提言:本件研究者が関与している政府関連研究などを通じて政策提言する。政策提言では、日本が既に締結している対シンガポールEPA の効果や検討中のFTA における国境効果の残存の程度を測り、それをできる限り提言していくための具体的措置(例えば、欧州における障壁の報告・登録制度)などを盛り込む。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費未使用分は、主要論文の電子ファイルを外部の協力者よりの提供を受けたことによる節約分、および、データ・文献の未収集分費用に相当する。旅費については、欧州と米国に外国出張を計画していたが、面会予定者の都合がつかず、本年度は中止し、翌年度に持ち越すこととした。人件費・謝金は、データのコピー・入力作業費にあたるが、本年度は時間的な都合もあり、26年度に持ち越すこととした。その他は印刷費等であるが、25年度には電子的な手段により節約を図り、26年度に印刷等を行うこととする。 データ入力・文献コピー等の作業の遅延分については、26年度に使用する予定である。外国出張も26年度に実施する。節約分は、収集論文を拡充することに使用する。印刷費等も、26年度作成の資料印刷等に充当する。これらにより、26年度には、26年度実施計画経費(200,000円)に加え、25年度に使用しなかった経費(514,091円)をすべて使用することとする。
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Research Products
(3 results)