2015 Fiscal Year Research-status Report
リアルタイム同時性を考慮した政策評価と市場での価格・期待形成への影響
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25380330
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小巻 泰之 日本大学, 経済学部, 教授 (80339225)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | リアルタイムデータ / リヴィジョンスタディ / 認知ラグ / 私的情報 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,当局(中央銀行,中央政府)が民間と比べて有益な私的情報を有するのかについて,情報量を確認した上で分析した.民間予測において,GDPや鉱工業生産指数などの公開情報がより正確でない状況では,民間予測は当局(日銀予測)の影響を受けていることがわかる.したがって,民間主体は日銀予測に対して何かしらの私的情報が含まれているのではないかと考え,それを意識した予測形成を行っているとみられる.たとえば,短観についてはGDPと同様,経済全体の動きを把握できるものとして重視されているが,その作成過程で種々の企業から情報を得られ,それが日銀の私的情報として期待されているのであろう.CGPI(企業物価指数)やCSPI(企業向けサービス価格指数)についても,日銀が作成していることから,インフレ率に関する私的な情報を得ていると期待されているとみられる.しかしながら,予測の優劣で見れば,日銀予測及び民間予測で違いはなさそうである.つまり,日銀予測にはGDPやCPIの予測に対する私的情報は有していないことが伺える.これはある意味当然かもしれない.つまり,統計作成における公正性を示している.と同時に,日銀予測には日銀内部が真に有する私的情報を反映していない可能性を示しているとも考えられる. また,自身のホームページを通じて,これまで作成してきたリアルタイムデータのデータベースを公開した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
データベースの作成は概ね順調に進む.リアルタイムデータの公開を行った.また,分析もほぼ計画通りに進めている. また,これまでの成果をまとめた研究書を刊行する.書籍は第56回エコノミスト賞をいただくことができた.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度の課題として,これまでのリアルタイムデータを用いた分析について,データを更新した上で,再推計し結果を検討する.また,本研究プロジェクトをさらに進める必要を感じている.リアルタイムベースで意思決定を行うことによるミスをどのように改善すべきかが課題である.このため,外国の事例を調査することから始めたい.
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Causes of Carryover |
一部,データベース作成の遅れから研究の進捗に遅れが生じた.その結果,研究成果の発表が遅れたことが原因である.ただし,昨年度末にかけて,研究の進捗を早め,研究成果を公表できるところまで到達している.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は研究成果の発表のため,旅費等への使用を考えている.
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