2014 Fiscal Year Research-status Report
多国間経済連携協定にともなう労働市場の国際化に関する経済分析
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25380340
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
近藤 健児 中京大学, 経済学部, 教授 (70267897)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 国際情報交換 イタリア / 国際労働移動 / 多国間経済連携協定 / 量的移民規制 / 質的移民規制 / 最適移民政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
第1の研究課題は移民政策の多様性と多国間経済連携協定に関するものである。イタリア・バーリ大学のニコラ・コニーリョ准教授との共同研究は,途上国からの労働受け入れに対して量的に最適規制する先進国と,質的に最適規制する先進国が協定に加わり,相互の労働市場の統合が進む場合の経済的影響を理論分析するものであり,どちらの先進国も利益を得るケースと,損失を被るケースが生じうるが,その結論には両国の当初の賃金格差が強く関係していることを明らかにした。この論文は2013年度にバーリ大学でのワークショップでの研究報告を経て,査読付き学術雑誌International Economicsに掲載が決定した。 第2の研究課題は協定に加わる中進国に関するもので,こうした国では協定参加後に加盟国の先進国に熟練労働者を輸出するとともに,域外の途上国からの未熟練労働者の流入にも直面することになる。中進国内部での内生的な技術形成を考慮したとき,国民所得を最大化するような途上国からの最適規模の単純労働受け入れ規制は必ずしも国内未熟練労働者賃金を上昇させず,国内熟練労働者賃金を下落させないことが示された。この論文は単著であり,サンクト・ペテルブルクでの欧州地域学会,ミュンヘンでのETSGのコンファレンスでの報告を経て改訂され,査読付き学術雑誌International Journal of Population Researchに掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初設定した2つの研究課題それぞれに研究論文がまとまり,学会報告を経て,査読付き英文学術雑誌(International EconomicsおよびInternational Journal of Population Research)に掲載されることになるなど研究成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
第2の課題については,国際労働移動中間国からの労働流出に関してのモデル設定が制約的すぎるなどの欠点があり,また得られた結論も十分とは言えないので,残り1年間でさらに研究を深化させ,全面的に論文を改定してさらに高いレベルの学術雑誌への投稿を目指したい。
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Research Products
(5 results)