2013 Fiscal Year Research-status Report
雇用創造政策としての介護サービス産業の役割についての理論的実証的研究
Project/Area Number |
25380342
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
鎌田 繁則 名城大学, 都市情報学部, 教授 (70214509)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 介護職員数 / 介護サービスの最適配分 / 地域包括ケア |
Research Abstract |
本研究は、介護保険制度導入によって確立したわが国の介護サービス産業について、介護保障が社会保障制度の重要な柱であることを踏まえつつ、かつその雇用創造効果を地域雇用に活かす方法を探求することを目的としている。これには、介護サービス産業を単に狭義の社会保障の枠組みで捉えるだけでは不十分で、将来的に付加価値の高い、裾野の広い産業に育てる方策が必要であり、その具体的な方策と予想される効果とを理論的実証的に研究する。 研究初年度である平成25年度は、ベンチマークとして既存の雇用政策の雇用創造効果の大きさを推計する計画を立てていた。これには、全国規模での雇用創造効果を集計することといくつかの道府県に絞ってより詳細に行う推計とがあったが、本年度は前者について平成72年までの将来推計を実施し、その結果のダイジェスト版を中部経済新聞(2014年1月31日号)に寄稿し、より詳細な分析を名城大学総合研究所『紀要』第19号(同年3月)に寄稿した。必要な介護職員数は平成23年度の約55万人から平成72年度には倍増し、約113万人になることが分かった。都道府県レベルでの推計は、沖縄県の他に、北海道、山形県、高知県など雇用不振地域と三大都市圏で行う予定であるが、北海道でヒアリング調査を行った以外にはまだ進展していない。この研究は平成26年度に実施する予定である。 他方、平成26年度から研究する予定であった介護サービス配分の理論モデル構築の一部が予想外に進展し、その研究成果の一部を第25回生活経済学会中部部会研究報告会(平成25年11月9日南山大学)で口頭発表することができた。この研究は更に改良され、現在専門雑誌に投稿中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画では介護サービスの雇用創出効果の大きさを先に推計し、次年度に介護サービスモデルの構築を行う予定であったが、一部順番が前後した。そのために、計画では平成25年度中に都道府県レベルでの雇用創出効果の大きさまで推計する予定であったが、全国レベルでの推計にとどまった。代わりに、平成26年度に構築予定の2つの理論モデル(ミクロモデルとマクロモデル)のうちミクロモデルの構築に目途をつけることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
まず、前年度やり残した介護サービス産業の都道府県レベルの雇用創出効果の大きさを推計する。その上で、もともと予定されていた理論モデル構築の研究に進んでゆく。 また、本研究を進めている中で、地域包括ケアとの関連が無視できないことが分かってきた。介護サービス産業の雇用創出効果は予想通り絶大であったが、これをそのまま現行の介護保険制度を使って雇用することは介護財政を逼迫させ、また若年介護労働者不足を招く恐れがある。それ故に、有料有償制ボランティアを活用することも検討する必要があるが、これはいわゆる地域包括ケアの概念と重なるものである。介護保険事業ではフォーマルケアの提供のために専門の介護職員を雇用し、彼らの待遇を積極的に改善し、他方で地域支援事業でセミフォーマルケアを有料有償制ボランティアにより提供するように研究の軌道修正を図りたいと考えている。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が発生した主な理由は、旅費と人件費の使用額が計画を大きく下回ったためである。このうち人件費は上で記載したように、介護サービス産業の雇用創出効果の将来推計において、全国レベルの推計の他に都道府県レベルの推計を行うように計画していたが、後者が実施できなかったためである。また、旅費はそれに関連して、都道府県レベルの推計を行う場合に対象地域へ資料収集するための出張用に予定していた費用である。 上記の「今後の研究の推進方策」に示したように、都道府県レベルの雇用創出効果の推計は今年度にずれ込むことになった。従って、繰り越した旅費と人件費は、そのまま今年度使用する予定である。
|
Research Products
(3 results)