2013 Fiscal Year Research-status Report
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25380352
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The Economic Research Institute for Northeast Asia |
Principal Investigator |
中島 朋義 公益財団法人環日本海経済研究所(調査研究部), その他部局等, 主任研究員 (50551404)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金 奉吉 富山大学, 経済学部, 教授 (80314467)
久野 新 杏林大学, 総合政策学部, 講師 (80583682)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | TPP / FTA / RCEP / FTAAP / 制度的経済統合 / 北東アジア / アジア太平洋地域 |
Research Abstract |
第一に日中韓3カ国を含むこれまでの経済統合の動きの整理については、以下のような研究実績を達成した。韓国で実施した二回のヒアリング調査をもとに、韓国におけるFTA等の経済統合の効果について分析を行った。その成果物としては、まず最近の韓国のFTA政策の全体的な内容を、韓国経済に関する単行書の一章としてまとめた。また、特にFTAの締結による国際分業の変化の影響を大きく受ける部品・素材産業について、雑誌論文(査読付)としてまとめた。 第二に制度的統合が遅れている日中韓の現状に対する政治経済的アプローチについては、以下のような研究実績を達成した。当初予定していた韓国におけるインターネット・アンケートの実施が、現地の状況により困難となったため、主に有識者、FTA研究者に対するヒアリング調査で情報の収集を行った。さらに、韓国以外については文献調査によって情報収集を行った。それらの内容は、貿易調整支援政策(TAA)導入の意義と課題を中心に雑誌論文としてまとめた。 第三にGTAP(Global Trade Analysis Project)データベースによる応用一般均衡分析(CGE)モデルを用いた、日中韓を含むFTAのマクロ経済効果及び産業別効果の分析については、以下のような研究実績を達成した。提供されている中で最新のデータベースである2007年を基準年次とするGTAP Version 8を用い、同バージョンで初めて一国として独立したデータが提供されたモンゴルを含め、北東アジア地域におけるFTAについてシミュレーション分析を行った。その内容は雑誌論文としてまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、FTAAP、TPP、RCEPなどの大規模FTA構想が提示され、アジア太平洋地域の制度的経済統合が進展する中で、日本、中国、韓国を含む北東アジアにおける統合が遅れている実態について、主に政治経済学的視点から分析を行い、経済統合推進の政策的条件を提示することを目的としている。 本年度では現状の把握については、韓国においてヒアリング調査を中心にFTA政策の現状と課題を分析した。また政策的条件の提示については、その第一段階として韓国等における先行事例を参考に、日本版貿易調整支援政策(TAA)の導入の意義と課題についてまとめた。したがって、研究計画の第一年度として、いずれも十分な成果を上げたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度実施を予定していた韓国におけるインターネット・アンケートは、韓国独特のインターネット利用環境の中で、予定していた条件でアンケートを受託する調査会社を見つけることができず、結果的に断念せざるを得なかった。この部分は韓国における専門家に対するヒアリング調査を補強し、情報収集を補った。 平成26年度は予定している中国におけるヒアリング調査に加え、TPPの主要メンバーである米国においてFTA政策及び貿易調整支援政策(TAA)に関するヒアリング調査を予定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度実施予定だった韓国におけるインターネット・アンケート調査が、韓国のインターネット利用環境の実態から、実施ができなかったため。 26年度において、TPPの主要メンバーである米国でFTA政策及び貿易調整支援政策(TAA)に関するヒアリング調査を予定する。
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Research Products
(8 results)